成田空港が燃料電池車を導入、水素で「エコ・エアポート」へ前進:電気自動車
成田国際空港は「エコ・エアポート」として、空港運用における環境負荷低減を目指した取り組みを進めている。この施策一環としてこのほど業務用車両に燃料電池車を導入すると発表した。採用したのはホンダの「CLARITY FUEL CELL」である。
成田国際空港(以下、成田空港)は2016年12月19日、同社の業務用車両にホンダの燃料電池車(FCV)「CLARITY FUEL CELL」を導入すると発表した。水素を燃料に走行するFCVを活用することで、空港運用における環境負荷の低減を目指す(図1)。
同社は成田空港の運営における環境負荷低減を目指し、2環境計画「エコ・エアポートビジョン 2030」を策定している。これは2030年度までに空港から排出されるCO2を、航空機の発着回数で1回当たりで、2015年度比30%削減するという目標を掲げている。
2016年4月にはこの目標に向け2016〜2020年度の五カ年の取り組みを示す「エコ・エアポート基本計画」を策定。「周辺環境への取り組み」「資源循環への取り組み」「気候変動への取り組み」「環境マネジメント」の4つの柱で構成される計画で、今回の燃料電池車の導入は周辺環境への取り組みの一部として、低公害車を利用することにより大気汚物質の削減を目指したものだ。
水素ステーションも運用中
成田空港は燃料電池車の利用に欠かせない水素ステーションも既に稼働している。2016年3月に空港内に「成田水素ステーション」がオープンした。首都圏の空港内に商用水素ステーションが導入されるのは、当時国内初の事例である(図2)。
成田水素ステーションはオフサイト方式で、充填(じゅうてん)能力は1時間当たり300Nm3(ノルマルリューベ)、充填圧力は70MPa(メガパスカル)。空港関係者だけでなく、一般のユーザーも利用することが可能で、1台当たり3分で水素を充填できるという。
成田空港はこうした低公害車の導入だけでなく、今後もさまざまな施策により、空港運用に伴う環境負荷低減に取り組む方針だ。
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