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電力×新規事業開発――大手異業種企業の新規参入3分で分かるこれからの電力業界(4)(2/3 ページ)

「電力小売業界」への就職・転職を目指す方に、急速に変化・多様化する業界動向を分かりやすく解説。今回からは業界を読み解くカギをトレンド別に分け、それぞれの「概要」「事例紹介」「会社選びのチェックポイント」「こんな人におススメ!」という4項目に分けて図解も交えながら説明していく。

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あくまでもメインは本業。電力事業は副次的

 このように異業種参入企業における電力ビジネスには、既存ビジネスとの特性を相互に補完し、魅力を引き出していくことが求められます。しかし、異業種参入企業にとっての電力事業は、企業全体でみるとあくまで副次的な場合が多いです。電力の自由市場はまだまだ歴史が浅く事業の継続年数も短いので、しばらくはこれまで長年継続してきた既存事業がメインとなるでしょう。そのため、異業種参入企業で仕事をする上では、まずはその企業の既存ビジネスに対する理解が非常に重要であると言えます。

 電力自由化はまだまだ始まったばかりです。異業種参入企業の多くは、電力市場全体の動向を見ながら、少しずつ新たなビジネスを前進させている段階です。今後も異業種参入は増えていくと考えられ、現在はまだ電力事業には参入していないが、今後は参入しようと検討している企業も数多くあると思われます。こうした環境の中、各社が切磋琢磨し電力販売を継続していくことで、より魅力的な電力商品やサービスが生まれることが期待されます。

事例紹介:新規参入の異業種企業

 電力自由化によりさまざまな業種・業態の企業が参入し、電力事業にも新しいサービスが生まれていることを説明してきました。ここでは、異業種から電力市場へ参入した企業の一例として、商社がコンビニチェーンと連携した「MCリテールエナジー」と、鉄道会社として異例の参入を果たした「東急パワーサプライ」をご紹介します。

三菱商事とローソンが立ち上げた新電力「MCリテールエナジー」

 コンビニは今や私たちの生活に密着しており欠かせないものですが、MCリテールエナジーは、コンビニチェーンの「ローソン」を基軸として電力販売の拡大を図っています。同社には三菱商事株式会社と株式会社ローソンが出資しており、出資比率は三菱商事が84%、ローソンが16%です。ローソンには電力事業運営の経験が少ないので、今回の提携では日本のエネルギーインフラを支える会社の一つとして経験と実績のある三菱商事が、その経験不足を補う形となっています。

 ちなみに三菱商事は特別高圧の電力自由化が始まった2000年に、オフィスビルや工場向けに電気を供給するダイヤモンドパワー株式会社を設立。その後、現在まで15年以上にわたり電力事業を継続してきた実績があります。

 MCリテールエナジーが提供する電力プラン「まちエネ」は、三菱商事が持つ電力事業の盤石な基盤に、ローソンの強みを活かした魅力的なオプションが付与された内容となっています。

 例えば、「まちエネ」の契約者には、毎月100〜200円相当のローソンで使えるお得なクーポンが届けられ、パソコンやスマートフォンから利用することができるようになっています。

 そのほか、電気代1000円ごとに、Pontaポイントが10ポイントたまります。Pontaポイントはローソンのお試し引換券と交換することも可能であり、例えば120ポイント(120円相当)でチョコレート1箱(250円相当)と交換することができます。

 また、契約者にはローソンチケットの割引特典もあります。例えば1800円の映画観賞券がいつでも1300円になるなどの特典が盛りだくさんとなっていて、かつ何回でも利用可能です。

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 このようにMCリテールエナジーは、三菱商事が携わってきた電力事業のノウハウと、コンビニチェーンとして生活に密着したさまざまなサービスを提供してきたローソンの強みを生かし、魅力のある料金プランを提供しています。こういった異業種参入により、電力自由化後は電気料金プランの多様性が生まれ、消費者にとっても選択の自由が広がっているのです。

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