佐賀県内で初、農山漁村法を活用した風力発電事業が決定:自然エネルギー
佐賀県内で初となる農山漁村再生可能エネルギー法を活用した風力発電事業の計画が立ち上がった。自然電力とアハチがそれぞれ2MW級の風力発電所を建設する計画だ。同法にもとづき、売電収益の一部はを地域農業に還元される。
再生可能エネルギー事業などを手掛ける自然電力(福岡市)は2016年12月、佐賀県唐津市に「唐津市湊風力発電所」を建設すると発表した。同社初となる風力発所の開発案件で、2017年2月から着工する。
唐津市湊風力発電所は、日立製作所製の約2MW(メガワット)の風力発電設備を1基建設する。完工および発電開始は2018年2月頃を予定し、年間発電量は一般家庭約1100世帯の年間使用電力量に相当する約350万kWh(キロワット時)を見込んでいる。発電した電力は全て九州電力に売電する予定だ。
総事業費は8億円を見込んでおり、同年12月22日に建設に必要な資金に関するプロジェクトファイナンス契約を、東京スター銀行をアレンジャーとし、佐賀銀行、豊和銀行を含むシンジケート団と締結。約6億円をシンジケートローンとして3行から調達する。さらに環境省所管の「地域低炭素投資促進ファンド事業」の基金設置法人に選定され、一般社団法人のグリーンファイナンス推進機構から約1億円を調達するとしている。
また、唐津市内では建設業のアチハ(大阪市)が同じく2MW級の風力発電事業を計画しており、グリーンファイナンス推進機構から1億円の出資を受けた。この2カ所の発電所の建設は「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」(農山漁村再生可能エネルギー法)を適用し、唐津市内の農地を活用するものだ。発電所の営業運転開始後は、売電収益の一部が地域に還元される。佐賀県内で同法を利用した風力発電所の計画は、これが初の事例となる。
2カ所の発電所のEPCは若築建設とアチハのジョイント・ベンチャーが地元業者を活用して行い、稼働後は日立製作所が発電設備の維持・管理を担う計画だ。
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