風力発電市場は2030年に10兆円に迫る、国内市場は7倍に:自然エネルギー(2/2 ページ)
富士経済は風力発電システムの世界市場の調査結果を発表した。2016年は前年比で減少傾向にあるものの、長期的に市場拡大が続き、2030年には9兆7200億円にまで拡大すると予測している。
国内市場の動向は?
風力発電システムの国内市場(新設)陸上システムの国内市場は、2012年に始まったFITを追い風に、2014年頃から拡大基調にある。今回の調査では2016年の市場規模は321億円で、2030年に2160億円まで拡大すると予測している。
こうした市場拡大に向けて、課題となるのが出力制御の問題だ。2015年は太陽光発電大量導入により系統容量が抑えられたことから、2016年に風況のよい北海道では新規接続申請分から出力制御が無制限でかかる状況であり、東北電力と九州電力も無制限出力制御の時期が迫っている。現在環境アセスメント審査中の案件を含め2022年頃まで導入が進むとみられるが、さらなる導入には系統増強、間接オークションの導入、1000時間出力制御、無制限出力制御時の政府補償など、何らかの制度が必要と分析している。
2020年以降は、2000年以前に導入した小規模風力発電システムのリパワリング市場の形成も予想される。洋上システムの国内市場は、2015年の洋上風力発電専用FITの設定、2016年の港湾法改定などで市場環境が整い、新規参入企業が増加しているが、北海道、東北、九州といった風況のよい地域は、陸上・洋上ともに系統容量不足のため、無制限出力制御またはその対象となっており、開発が停滞傾向にあると指摘。また、洋上風力発電システム市場の本格拡大には港湾外の一般海域の法整備が不可欠であり、系統問題を含めた法整備が必要とした。
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