有線ドローンを小形風力の点検に、新潟県で実証実験:自然エネルギー
ベンチャー企業の会津ラボと環境エネルギー事業を行う鈴与マタイは、小型風力発電設備の点検にドローンを活用する実証実験に着手した。有線で給電を行うタイプのドローンを利用するもので、点検作業の効率化を図る狙い。2018年度の実用化を目指す方針だ。
ベンチャー企業の会津ラボ(福島県会津若松市)と環境エネルギー事業を行う鈴与マタイ(長野県佐久市)は、風力発電設備点検における有線ドローンの導入を目指し、2016年12月中旬から実証実験を開始した(図1)。
会津ラボは、ドローンを給電設備にケーブルで接続して給電し、長時間飛行を可能にする技術(有線ドローン)の開発を進めている。また会津大学との産学連携により、「有線給電の単体ドローンならびにドローン群の安定飛行」に関する固有技術の開発を進めている。
今回の実証実験では、4Kカメラを搭載した有線ドローンを使用して、鈴与マタイが運営・管理する小形風力発電設備(新潟県柏崎市)の点検を行った。有線ドローンの長時間飛行のメリットを生かし、時間をかけて「主要な点検対象箇所」「目視確認が難しい箇所」「ナットやパーツの状態」をさまざまな角度から撮影し、その後に行われる人的な点検作業に有用な、高精度の映像収録に成功した。同社では「バッテリー交換をせずに長時間飛行できる有線ドローンの特徴を生かし、風車のさまざまな箇所を長時間かけて撮影した。一度の飛行で複数台の風車を点検することも可能」としている(図2)。
風力発電設備業界では、ブレード飛散、ハブ・ナセル落下(風力発電システムを構成する要素で、ブレードは羽部、ハブ・ナセルは動力伝達部)などの重大な事故報告を受けて、保安強化の取組みが進められている。鈴与マタイは、従来の人的な点検に加えて、会津ラボの有線ドローンを導入することにより、点検作業の安全性・効率性を高めていく方針だ。
両社は、2018年度の実用化を目指して共同検証を進めていく方針だ。会津ラボはコンピューター理工学を専門とする会津大学の第1期生が2007年1月に設立。同大学発のベンチャー企業として公式認定を受けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
神話を破壊、111%の電力生むデンマークの風力
風力発電など、再生可能エネルギーに由来する発電所をこれ以上増やすことが難しいという議論がある。系統が不安定化したり、火力発電所の増設が必要になったりするという理由だ。このような主張は正しいのだろうか。風力だけで消費電力の100%以上をまかなったデンマークの事例を紹介する。
風力発電のブレード点検はドローンで、義務化進む風力発電の定期点検に対応
エアロセンスは、古河電工グループの商社である古河産業と、エアロセンスの自律型無人航空機システム(ドローン)による風力発電所のブレード点検を開始した。
風力発電に3年ごとの検査を義務化、500kW以上を対象に2017年4月施行へ
経済産業省は風力発電設備の新たな定期点検制度の内容案を発表した。単機500kW以上の設備を対象に、3年ごとの定期検査を義務付ける方針だ。2017年4月からの施行を予定している。


