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世界需要の36%、再生可能エネで実現か自然エネルギー(2/4 ページ)

現在、各国政府が掲げる政策目標の「2倍の水準」の再生可能エネルギーを導入する必要がある。IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が2017年1月に発表した報告書の目標だ。同報告書では再生可能エネルギーの現状と将来を政策や技術、投資から分析した。

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1:伝統的なバイオマスの比率が高い

 エネルギー計画を立案する際、着目すべきなのは電力だけではない。最終エネルギーに占める電力の割合は全世界において8.3%と低いからだ(2013年時点、国際エネルギー機関による)。

 石油や原子力、太陽光など自然界から採取したエネルギーを「一次エネルギー」と呼ぶ。一部は発電所で電力に変換、残りはほぼそのままの形で使う(天然ガスなど)。このような利用時の姿を「最終エネルギー(二次エネルギー)」と呼ぶ。

 図A-1は欧州連合(EU)28カ国における一次エネルギーと変換、最終エネルギーの用途を表したもの。電力は桃色で示されている。EUは電化が進んでいるため、電力の比率が高い。


図A-1 欧州連合における一次エネルギー・発電・部門ごとの最終エネルギー利用の関係(2013年)(クリックで拡大) 出典:欧州経済領域(EEA)

 図中、左端の1列の白枠が、自然から得た一次エネルギーを示す。数字は石油換算メガトン(MTOE)で表した規模だ。

 中央左の列は発電によるエネルギー変換を表している。このときに巨大な変換ロスが生じる。中央左下は石油精製だ。

 最終エネルギーの利用状況が右端にある。上から配送ロス、産業、非エネルギー利用、家庭、その他、輸送、変換ロスを示す。

 各種エネルギーは色分けされている。最も規模が大きいのは石油(黒と濃い灰色)だ。石油文明はまだまだ健在だ。石油のうち下側の太線は輸入原油を加工して、直接利用(原料)や輸出する流れを示す。

 天然ガス(青)、原子力(紫)、石炭(赤)の他、再生可能エネルギーを黄緑で示した。

数量では伝統的バイオマスが目立つ

 IRENAはエネルギーの流れを示していないものの、最終エネルギー消費における再生可能エネルギーの比率を算出している(図A-2)。

 2014年時点の最終エネルギー消費は360EJ。このうち化石燃料が79.6%、原子力が2.1%を占めていた。残りの18.3%が再生可能エネルギーだ。


図A-2 世界の最終エネルギー消費と方式ごとの比率(クリックで拡大) 出典:IRENA

 再生エネルギーの内訳はこうだ。途上国における「薪」のように直接、熱として利用するものが49.2%。電力として24%、高度な熱源として21.9%、輸送燃料として4.9%である。

 薪の比率はもちろん、輸送燃料の比率が意外に高いことが分かる。

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