ニュース
鳴門市の沖合に洋上風力発電を導入へ、50MW級の適地を抽出:自然エネルギー(2/2 ページ)
徳島県の鳴門市が洋上風力発電の適地を抽出する調査に着手した。渦潮で有名な鳴門海峡の周辺海域を対象に、50MW級の洋上風力発電所を建設できる適地を設定する。漁業や船舶の航行に対する影響などを評価したうえで、適地・不適地を表すゾーニングマップを作成して導入計画に生かす。
着工までの期間を最長3年に短縮
大規模な風力発電所(発電能力7.5MW以上)を建設する場合には、事前に環境影響評価の手続きを完了することが法律で義務づけられている。発電事業者が開発プロジェクトに着手してから工事を開始できるまでには5〜7年程度かかるのが通例だ。環境省は最長でも3年程度に短縮できるように、ゾーニングマップを活用した適地抽出手法を構築して風力発電の導入を加速させる狙いだ(図5)。
鳴門市の周辺を含めて徳島県の東側の沖合は風況に恵まれている。洋上風力発電の条件である年間平均風速が7メートル/秒に達する海域が広く分布する(図6)。ただし現在のところ洋上風力発電所を建設する計画は見あたらない。鳴門市の取り組みが実現すれば、開発を加速させる可能性が開ける。
徳島県では2012年度から「自然エネルギー立県とくしま推進戦略」を掲げて、太陽光・風力・水力・バイオマスによる電力の導入量を増やしている。2014年度には県内の電力需要に対する再生可能エネルギーの比率が22%に上昇した(図7)。さらに2030年度には国のエネルギーミックス(22〜24%)の目標を大幅に上回る37%まで高める計画だ。洋上を含めて風力発電だけで4.5%を見込んでいる。
関連記事
- 2030年に電力の自給率37%へ、「環境首都」を目指して東京に対抗
徳島県は再生可能エネルギーで地方創生に取り組む新戦略を打ち出した。「環境首都」を掲げて東京都に対抗する意気込みのもと、太陽光を中心に風力・小水力・バイオマスの導入量を拡大させる計画だ。電力の自給率を2030年度までに37%へ引き上げ、水素エネルギーの普及にも力を入れる。 - 洋上風力発電が近海に広がる、着床式で全国15カ所へ
風況に恵まれた北海道と東北の近海を中心に、大規模な洋上風力発電所の建設プロジェクトが続々と始まった。陸上よりも風が強く、風車の設置面積を広くとれるため、規模の大きい風力発電所を展開しやすい。水深の浅い場所に建設できる着床式の発電設備が全国各地の沖合に広がっていく。 - 風力発電の導入を法改正で加速、洋上風力も開発しやすく
太陽光発電に次いで拡大が見込める風力発電だが、世界の主要国と比べて開発が遅れている。政府は関連する法律を改正して事業環境の改善を図り、陸上風力に加えて洋上風力の開発を促進していく。他国と比べて2倍も高い発電コストを低減しながら、メンテナンス技術の高度化にも取り組む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.