電力×コミュニティー―ファン囲い込み&コラボ型電力プラン:3分で分かるこれからの電力業界(7)(2/3 ページ)
「電力小売業界」への就職・転職を目指す方に、急速に変化・多様化する業界動向を分かりやすく解説。今回はスポーツや音楽など一定のファンや顧客を持つエンタメコンテンツとコラボした“企画型”電力プランで新たな顧客を獲得していく「電力×コミュニティー」にフォーカスする。
事例紹介:ファン囲い込み&応援型電力プラン――広島カープファンを囲い込む、中国電力の「カープ応援メニュー」
中国電力では、電力小売完全自由化がスタートした2016年4月から、プロ野球の広島東洋カープとのタイアップによるコラボレーションメニューとして、「カープ応援メニュー」のサービスを開始しました。
この、プロ野球チームと電力会社がコラボレーションした全国初のサービスでは、加入者に電気料金の支払額などに応じてたまるポイントに加えて、カープの公式戦勝利や年間成績に応じた次のような特典ポイントが進呈されます。
カープ応援メニュー加入者への主な特典
- 勝利ポイント/公式戦1勝につき1ポイント
- 年間成績ポイント/ 優勝:10ポイント、2位:5ポイント、3位:2ポイント
- リーグ優勝ポイント/ リーグ優勝時に、200名に100ポイント
- 黒田投手「日米通算200勝」達成記念ポイント/記録達成時、200名に100ポイント
- 新井選手「通算2000本安打」達成記念ポイント/記録達成時、2000名に10ポイント
貯まったポイントをカープの観戦チケットやグッズに交換できるなど、広島カープを応援しながらポイントを貯めることを楽しめる仕組みになっています。
“再エネ発電所の応援”という新コンセプトを打ち出す「みんな電力」
「応援」というコンセプトを電力プランと結びつけている企業の一つに、「みんな電力株式会社」があります。2011年に設立された会社で、電源開発やポータルサイト「エネクト」の運営、次世代につながるエネルギー分野の研究開発も積極的に行うなど、幅広くエネルギー事業を展開しています。
同社は、電力小売全面自由化に合わせて家庭への電力販売を開始しましたが、提供しているサービスのテーマは「顔の見える発電所」というものです。これは、発電している電力の産地や作り方、関わっている人々の想いやこだわりといった“発電所の顔”がもっと見えるようにしよう、というものです。野菜などの販売でよく見かける、生産者の顔が分かるような仕組みと似ています。電力の購入者は、全国のいくつかの再エネ発電所の中から自分好みのものを選択し、電気料金の支払いを通じてその発電所を応援することができます。
この料金プランの仕組みでは、電気の基本料金の一定割合金額が応援している発電所に支払われます。寄付や募金など特別なことをしなくても、電気を使うだけで自分の選んだ発電所を応援することができるというわけです。応援したい地域やふるさとなどがあれば、その地域の発電所を選ぶだけで地域に貢献することも可能となります。
みんな電力では、電力に関するさまざまな試みを実行に移しており、消費者としてもエネルギー利用を楽しめるような工夫がちりばめられています。
また、同社が運営しているポータルサイト「エネクト」では、電気代の領収証が「くじ」になる「エネくじキャンペーン」を実施しています。抽選で選ばれると、クオカードなどのプレゼントを受け取ることができる、消費者にとって嬉しいサービスです。
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