太陽光発電で1日に最長6キロ走る、環境性能を追求した「プリウスPHV」:電気自動車(2/2 ページ)
トヨタ自動車は2月15日に発売した「プリウスPHV」の新モデルに、量産車では世界で初めて太陽光発電による充電システムを装備した。屋根に搭載した太陽電池で1日に最長6キロメートルまで走ることができる。通常の充電方法を使えば電力だけで68キロメートルの走行が可能になった。
ソーラー充電システムを搭載して330万円
プリウスPHVはバッテリーに蓄電した電力で走る以外に、外部に電力を供給する機能を備えている。車体の側面にある充電用のインレット(ケーブル挿入口)に「ヴィークルパワーコネクター」をさし込むと、家電用の100ボルトのコンセントを使って電力を供給できる(図4)。消費電力の合計が1500ワットまでの家電製品を使える。
さらにガソリンエンジンを回して外部に供給する電力を増やすこともできる。ガソリンが満タンの状態であれば、最大1500ワットの電力を使い続けても2日間は持続可能だ。災害時の電源としても利用価値は大きい。
電力を供給するコンセントは車内にも付いている。後部のラゲージスペースの内側と、運転席の横のフロントコンソールにある。コンソールのトレイにはオプションで「おくだけ充電」と呼ぶ機能も追加できる。ワイヤレス充電方式でスマートフォンや携帯電話に充電が可能だ(図5)。
プリウスPHVの新モデルのメーカー希望小売価格は326万1600円から422万2800円(税込み、北海道と沖縄を除く)である。通常のプリウスと比べて80〜110万円ほど高いが、走行中の電費(燃費)が安くなる。5種類のモデルのうち2種類(モデルS、モデルS“ナビパッケージ”)にソーラー充電システムをオプションで搭載できる。ソーラー充電システムの価格は28万800円だ。
国が交付する「クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金」を適用できて、9万6000円の補助を受けられる(図6)。このほかにエコカー減税と自動車グリーン税制を組み合わせれば、最も安いモデルSは302万4600円(税込み)で購入できる。ソーラー充電システムを付けると約330万円になる。
プリウスPHVの屋根全面に太陽電池を搭載した外観は間違いなく注目を集めるだろう。好みの分かれるところだが、CO2排出量の点では通常のハイブリッド自動車や電気自動車と比べて優れている。走行距離も大幅に延びたことから、環境性能を重視するドライバーに受け入れられる可能性は十分にある。
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