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新設の水力発電所で最大級、2万世帯分を超える電力:自然エネルギー(2/2 ページ)
新潟県の山岳地帯で大規模な水力発電所の建設計画が進んでいる。100メートルを超える水流の落差を生かして、発電能力は2万7500キロワットに達する。隣には80年以上も運転を続ける古い水力発電所があり、既設の取水設備を共有して効率化を図る。運転開始は2022年4月を予定している。
国から環境アセスメントを求められる
大規模な水力発電所を建設する場合には、発電能力に応じて事前に環境アセスメント(環境影響評価)が義務づけられている。3万kW以上の第1種事業では必ず環境アセスメントを実施しなくてはならない(図4)。「新姫川第六発電所」のように2万2500kW以上の第2種事業に対しては、建設計画をもとに経済産業省が必要性を判断する。経済産業省は黒部川電力に環境アセスメントを要求した。
環境アセスメントが必要になった理由として、取水地点から発電所まで5キロメートル以上にわたって川の水量が減る問題が大きい(図5)。減水区間に生息する魚類や川底の生物に影響を与える懸念があるためだ。経済産業省は水量と水質を調査して影響を評価するように求めている。
加えて山の中にトンネルを掘削して導水路を埋設する大掛かりな工事がある(図6)。内径が4メートル以上の鉄筋コンクリート製の導水路を4.6キロメートルの長さで造成する予定だ。このほかの工事を含めて合計で20万立方メートルを超える大量の土砂が発生するため、周辺に3カ所の土捨て場を整備しなくてはならない。工事の規模の大きさの点からも環境アセスメントは不可欠と考えられる。
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