ため池が530世帯分の電力に、香川県に水上メガソーラー:太陽光
県面積に対するため池の密度で全国一位の香川県。このため池を活用する水上メガソーラー事業が新たに始まった。日本アジア投資が手掛けるプロジェクトで、水面に浮かべた太陽光モジュールで、年間530世帯分の電力を発電する見込みだ。
ため池の数で全国3位、県土の総面積に対する密度では1位の香川県。豊富なため池の水面を活用した、水上メガソーラーの開発が活発だ。再生可能エネルギー事業を進める日本アジア投資は香川県さぬき市にのため池に水上メガソーラーを建設すると発表した。2017年8月から発電を開始する計画だ。
利用するため池は市の中部に位置する「御田神辺池(みたかべいけ)」。パネルをフロート架台で浮かべる方式で、太陽光モジュールの設置容量は1.52MW(メガワット)、年間発電量は約187万kWh(キロワット時)を想定している。これは一般家庭約530世帯分の年間電力消費量に相当する発電量だ。発電した電力は1kWh当たり税別32円で四国電力に売電する。
太陽光モジュールは中国のジンコソーラー製、パワーコンディショナー(PCS)は中国のサングロウ製を採用。フロート架台は、三井住友建設製のものを導入する。太陽光モジュールを装着する高密度ポリエチレン製のフロート、フロート同士を連結する連結板(ブリッジ)、フロートと連結板を固定する緊結バンドによって構成されている(図2)。
総事業費は5億円で、このうち85%を地元の香川銀行からのプロジェクトファイナンスにより調達した。発電所のEPCは、日本リーテックが担当している。
日本アジア投資は太陽光発電事業に注力しており、2018年3月までに合計100MW(メガワット)のメガソーラーを稼働させる計画だ。2016年12月末時点までに投資をしたプロジェクトは、売却済みの案件も含め累計で29件、138.7MW(このうち同社の出資持分は81.8MW)まで拡大している。
日本アジア投資は手掛ける太陽光発電事業が順調に増加したことや、東京証券取引所の上場インフラファンド市場の開設など外部環境の整備が進んだことを受け、今後は、条件次第ではプロジェクトを売却することで早期の収益化も視野に入れるとしている。同時に計画中のプロジェクトを確実に事業化するとともに、新規案件の開拓にも取り組む方針だ。
関連記事
- 廃棄物発電がうどんから下水へ、ため池には太陽光発電を
面積が全国最小の香川県の再生可能エネルギーは太陽光とバイオマス発電が中心だ。バイオマスでは廃棄物を再利用する取り組みが活発で、うどんカスに続いて下水や生ごみから燃料を作って発電に活用する。年間を通して雨が少ない利点を生かして、ため池の水上に太陽光発電を展開していく。 - 土地がないなら水上へ、メリットも多い水上設置型の太陽光発電
日本国内の太陽光発電の事業適地は減少傾向にある。そこで注目されているのがため池やダムといった水上の未利用地だ。三井住友建設は新たな水上設置型の太陽光発電フロートシステムを開発した。電力インフラが整備されていない海外地域での電源としての利用も見込んでおり、太陽光発電の普及を促進していく。 - ため池の太陽光発電は30度の傾斜が効果的、年間の発電量1.3倍に
太陽光発電の新たな導入方法として、ダムや池の水面を利用した水上式が注目を集めている。農業用のため池が1万5000カ所もある香川県では、1年間かけて実証実験を続けて効果を検証した。ため池の水面に浮かべるフロートの形式や太陽光パネルの設置角度の違いによる発電量を比較している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.