アップル新本社に世界最大級の屋上メガソーラー、バイオガス燃料電池も併用:自然エネルギー(2/2 ページ)
米国カリフォルニア州に建設中のアップルの新本社が完成間近だ。円形のメインビルディングの屋上に太陽光パネルを設置するほか、バイオガスによる燃料電池も併用して電力の100%を再生可能エネルギーで供給する。4月から移転を始めて、1万2000人以上の社員が入居する。
全世界の拠点で再エネ100%に近づく
アップルは全世界のオフィスや店舗、データセンターを含めて、電力の100%を再生可能エネルギーで供給するプロジェクトを推進中だ。2015年の時点で比率は93%まで上昇した(図5)。すでに米国とヨーロッパでは100%に達している。
再生可能エネルギーの中でも太陽光発電と風力発電が中心になる。砂漠が広がる米国西部のネバダ州では、データセンターに隣接して集光型の太陽光発電システムを建設した。細長い曲面鏡で太陽光を集めて効率よく発電できる(図6)。
東部のノースカロライナ州のデータセンターには、バイオガスを利用した燃料電池システムが稼働している(図7)。米国ブルーム・エナジー(Bloom Energy)社の製品で、全体の発電能力は10MWに達する。併設する20MWのメガソーラーと組み合わせて、データセンターで消費する電力を100%再生可能エネルギーで供給できる。
アップルは燃料電池システムのメーカーを公表していないが、カリフォルニア州の新本社に導入する燃料電池も同じブルーム・エナジー製を採用した可能性が大きい。発電能力は4MWである。どのような種類のバイオガスを利用するかは不明だ。
新本社の構内にはジョブズ氏の名前を付けたシアターも2017年内にオープンする。メインビルディングと同様に円形になっていて、最大1000人を収容できる(図8)。平らな屋根は直径50メートルのメタリック・カーボンファイバー製で、周囲は高さ6メートルのガラスで覆われている。ジョブズ氏が好みそうな素材の組み合わせとシンプルなデザインである。
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