世界50カ所の配送センターの屋上で太陽光発電、アマゾンが2020年までに:自然エネルギー
インターネット通販で世界最大手のアマゾンが、配送センターの屋上を利用して太陽光発電を拡大する。2017年内に米国の15カ所に設置を完了して、2020年までに世界50カ所の配送センターに展開する計画だ。1カ所の配送センターが消費する電力のうち最大で80%を太陽光発電で供給できる。
世界各国でインターネット通販の市場が拡大する中、最大手のアマゾン(Amazon)は流通量の増加に合わせて配送センターの整備を急ピッチで進めている。同時に配送センターで使う電力を再生可能エネルギーで供給するために、広大な屋上を利用して太陽光発電システムを導入するプロジェクトを推進中だ(図1)。
米国で3月2日に発表した新しい実行計画では、2017年末までに米国内にある15カ所の配送センターの屋上に太陽光発電システムの設置を完了する。15カ所の合計で発電能力は最大41MW(メガワット)に達する見込みだ。東部と西部の5州(ニュージャージー、デラウエア、メリーランド、ネバダ、カリフォルニア)にある配送センターが対象になる(図2)
アマゾンの発表によると、カリフォルニア州のパターソン市にある配送センターでは、10万平方メートルの広さがある屋上の4分の3以上に太陽光パネルを設置した(図3)。個々の配送センターの発電能力は不明だが、1カ所あたり平均で2MW以上になる。
発電した電力は配送センターの内部で消費する。アマゾンは配送センターに各種のロボットを導入して省力化を進めている(図4)。カリフォルニア州パターソン市の配送センターでは数百台にのぼる電動ロボットが商品を運搬する。CO2(二酸化炭素)を排出しない太陽光発電の電力を使って、配送センターの中をロボットが動きまわる。
太陽光発電の条件が最も良いケースを想定した場合、1カ所の配送センターが年間に消費する電力量のうち最大で80%を太陽光発電で供給できる見込みだ。アマゾンは米国に続いて世界各地の配送センターにも太陽光発電を拡大して、2020年までに合わせて50カ所に展開する。日本国内の配送センターにも導入する可能性がある。
アマゾンは大量の電力を消費する配送センターとデータセンターを中心に再生可能エネルギーの導入量を増やしている。2016年には全社で消費する電力量のうち40%以上を再生可能エネルギーで供給できた。太陽光発電のほかに風力発電にも力を入れている。南部のテキサス州では253MWの発電能力がある大規模な風力発電所を建設中で、2017年内に運転を開始する予定だ。
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