水力発電の電力を地域施設に、JFEと水俣市が実証実験:電力供給サービス
JEFエンジニアリングは熊本県水俣市とJNCと共同で、市内の水力発電所で発電した電力を水俣市の所有施設に供給する実証実験に着手する。電気料金やCO2削減量など効果を検証し、将来は共同出資による地域エネルギー供給会社の設立も視野に入れる。
JFEエンジニアリング(東京都千代田区)は、熊本県水俣市および同市内に水力発電所を保有するJNC(東京都千代田区)と共同で、「再生可能エネルギーを中心とした電力による水俣市保有施設への電力供給」の実証試験を行うことをこのほど合意した。共同試験期間は2017年2月〜2018年3月。ただしこの期間の終了前に事業化に進む可能性もあるとする。
熊本県内では、球磨川流域等の豊富な水量により、大規模な水力発電が行われている。今回の実証試験では、JFEエンジニアリングの持つ再生可能エネルギー発電所に加え、JNCの水力発電所からの電力を同社子会社の小売電気事業者であるアーバンエナジー(横浜市)を通じて、水俣市が保有する施設(水俣市役所など)に2017年度の早い時期より供給する。
電力供給規模は約1000kW(キロワット)。その後6カ月から1年を目処に、電力供給先の再生可能エネルギー比率の向上によるCO2排出量削減や、供給の安定性、料金削減などを確認する。効果が確認され次第、水俣市、JNCおよび同社は、共同出資による地域エネルギー供給会社を設立する協議を開始することとしている。なお、電力のCO2排出係数(参考数値)については、現在契約中の電力会社が0.528kg-CO2/kWhであるのに対して、アーバンエナジーは0.249kg-CO2/kWhとする(水力発電は0.011kg-CO2/kWh)。
JFEエンジニアリングは官民連携による地域エネルギー供給会社として、今年4月1日には静岡県磐田市と共同で「スマートエナジー磐田」を設立する。同社グループは、地域の特性を生かしながら環境負荷とエネルギーコストを低減し、地域とともに歩む地産地消型エネルギー供給事業を今後も積極的に進める方針だ。
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