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タフになったブラザーの燃料電池、水素の地産地消にも:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
ブラザー工業は「FC EXPO 2017」に出展し、新規事業の一環として開発した燃料電池システムを披露した。水素燃料を搭載した従来より耐久性を高めるなど改良を加えており、インフラなどのバックアップ電源としての用途を見込む。大型のモデルを活用し、岐阜県で産学官の連携による水素エネルギーの地産地消も推進中だ。
岐阜県で水素の地産地消を推進
より大型の据え置き型の燃料電池システムを活用した、水素エネルギーの地産地消を目指したプロジェクトも進行中だ。ブラザー工業は2016年7月に、岐阜県、八百津町、岐阜大学、清流パワーエナジー、森松工業と共同で「水素社会の実現に向けた産学官連携協定」を締結している。再生可能エネルギー由来の水素を活用した地産地消型エネルギーシステムの構築を目的とした協定だ。
この取り組みの一環として、定格出力電圧380V、最大負荷容量4.4kWと高出力型の燃料電池「BFC4-5000-DC380V」を八百津町の防災センターに導入し、コージェネレーションシステムを構築した。燃料電池システムで発電した電力を施設で利用し、排熱を活用してお湯を供給する。燃料として、地域の再生可能エネルギー電源の電力を利用して生成した水素を活用する計画だ。2017年4月をめどにシステムの稼働がスタートするという。
手で押せる「ワゴン型」も披露
この他、ワゴン型の燃料電池システムも参考出展した。AC出力100V、最大負荷容量700Wの燃料電池システムで、発電ユニットと燃料ユニットをタイヤ付きのワゴン型にパッケージ化したものだ。重量は約120〜130kg(キログラムで)、大人一人で押して動かすことができる。
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