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清掃工場から公共施設へ電力の地産地消、年間1億円以上のコスト削減電力供給サービス(2/2 ページ)

静岡市は7年間にわたるエネルギーの地産地消に2017年度から取り組む。清掃工場で発電する電力の余剰分や地域の電源で作る電力を組み合わせて、市役所の庁舎など281カ所の公共施設に供給する。合わせて80カ所の小中学校に蓄電池を設置して「仮想発電所」を展開する計画だ。

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小水力発電所の電力も地産地消

 鈴与商事は自社で再生可能エネルギーの発電設備を拡大して地産地消できる電力量を増やす。さらに静岡県が運営する2カ所の小水力発電所の電力を買い取って県内の自治体や企業・家庭に供給する事業を2016年5月に開始している(図5)。


図5 農業用水路を利用した小水力発電の電力を地産地消するモデル。出典:静岡県交通基盤部

 2カ所の小水力発電所は静岡県の中央を流れる大井川の流域に広がる農業用水路に設置したものだ。用水路の水の流れを分割するために設けた「分水工(ぶんすいこう)」が生み出す落差を利用して発電する(図6)。


図6 「西方発電所」(上)と「伊達方発電所」(下)の全景。出典:静岡県交通基盤部

 発電能力は2カ所の合計で311kWになり、年間の発電量は196万kWhを見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して540世帯分に相当する。清掃工場の発電量に比べると桁違いに少ないものの、再生可能エネルギー100%の電力でCO2の排出量を削減できる。

 このほかに鈴与商事が運営する太陽光発電やバイオガス発電の設備がある。太陽光発電では静岡市内の清水港に展開するメガソーラーの規模が大きい(図7)。グループで所有する7棟の倉庫の屋根に太陽光パネルを設置して、発電能力は合計で1300kWある。年間の発電量は130万kWhになり、一般家庭の360世帯分に相当する。


図7 メガソーラーの設置場所(上)、倉庫の屋根に設置した太陽光パネル(下)。出典:鈴与商事

 バイオガス発電は静岡市から40キロメートルほど離れた菊川市で実施中だ。グループの食品メーカーなどが排出する食品廃棄物からバイオガスを精製して発電する。発電能力は120kWで、年間に105万kWhの電力を供給できる。一般家庭の290世帯分になる。

 鈴与商事は静岡県を拠点に運輸業などを展開する鈴与グループの商社で、石油やガスをはじめとするエネルギー関連商品や建設資材・化学品・情報機器などを取り扱っている。最近は太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー関連事業と電力小売事業にも力を入れている。

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