太陽光パネルの下で牧草栽培、新潟県でソーラーシェアリング:太陽光
自然電力グループは新潟市で太陽光発電の建設を開始した。太陽光発電と農業を同時に行う「ソーラーシェアリング」を行うのが特徴の発電所だ。太陽光パネルの下で牧草を栽培する。
再生エネルギー関連事業を展開する自然電力と関連会社のjuwi(ユーイ)自然電力は、自然電力グループ初となるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)による「新潟鈴木ファーム太陽光発電所」の建設を新潟市で開始した。2017年3月7日に着工式を行っている。
ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立てて太陽光発電設備を設置し、農業と発電を同時に行う太陽光発電事業の手法。新潟鈴木ファーム太陽光発電所は同市に位置する鈴木農園の一部約1万8900平方メートルの農地を利用して、出力約1.36MWのメガソーラーを建設するものだ。発電所の下部の農地では、遮光耐性に優れた牧草の生産が行われる。
年間発電量は、一般家庭約440世帯の年間使用電力量に相当する約144.5万kWh(キロワット時)を見込む。運転開始は2017年5月を予定しており、発電した電力は、「固定価格買取制度(FIT)」を活用し、東北電力へ売電する予定だ。
今回の事業は、自然電力グループが、開発からEPC(設計・調達・建設)までを一貫して行ったプロジェクト。開発は、自然電力ならびに開発事業パートナーであるRETRY(東京都目黒区)が共同で実施し、EPCはjuwi自然電力が担当する。同発電所の設計・施工は、農作物への日射量を確保するため、架台間の距離を充分に確保し、農業機械が架台の下を通過できるように、地面からパネルの下端までの距離を約2m(メートル)確保している。
自然電力グループは、同事業を皮切りに、国内のソーラーシェアリングの実現に取り組むことで、地域農業の振興と再生可能エネルギーによる発電量のさらなる拡大と両立を目指す。今後も、国内外問わず、発電所設置地域の状況やニーズに合わせたソリューションを提供していく方針だ。
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