東京電力、ドローンが電力設備を自動で点検するシステムを共同開発へ:エネルギー管理
東京電力ホールディングスなど3社は、自律飛行するドローンが電力設備を自動点検する「ドローン飛行支援システム」の共同開発について合意した。2018年4月をめどに実証実験を開始する予定だ。
2018年4月に実証実験を開始予定
東京電力ホールディングス(東京電力HD)およびブルーイノベーション、テプコシステムズの東京電力グループ3社は2017年3月、自律飛行するドローンが電力設備を自動点検する「ドローン飛行支援システム」の共同開発について合意した(図1)。今後、安全にドローンを飛行させる技術開発を進め、2018年4月をめどに実証試験を開始する予定だ。
これまで送電鉄塔、送電線など高所の電力設備点検は、作業員による昇塔点検やヘリコプターからの目視点検に加え、2014年10月からはドローンを操縦者が飛行させ、設備状況を確認してきた。しかし、高所作業の安全性向上や後継人材不足への対応、一層のコスト削減に取り組むには、効率的で安全に電力設備点検を実施するとともに、簡単な操作でドローンの自動点検を実現させることが不可欠となっている。
そのため、東京電力HDが蓄積した電力設備の点検技術と点検データ、ブルーイノベーションのドローン安全飛行管理技術、テプコシステムズの設備保全システム開発や保守技術を融合させ、ドローン飛行支援システムを共同開発することになったという。
具体的には、システム上で点検設備を指定すれば、ドローンの最適な飛行経路、飛行計画を自動作成するシステムを開発する。高解像度カメラや赤外線カメラで撮影した映像は、専用タブレット端末によってリアルタイムで確認できると同時に、映像データはサーバや業務端末にも自動連携するシステム構築を目指す。建物内の通信設備などに設置されている計器、通電ランプなどの表示状態についても屋内点検用のドローンが自動点検し、点検後に自律飛行で充電基地に着陸可能な機能開発にも取り組んでいく。
東京電力HDは今後、同システムをはじめとした電力設備の保全高度化技術の検討を進める方針だ。ブルーイノベーションは安全で安心なドローンの事業活用、テプコシステムズはグループの電力業務関連システムの開発を積極的に実施していくとした。
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