再エネ投資を活性化、楽天が“環境価値”の取引市場を創設:電力供給サービス
楽天とグローバルエンジニアリングは「環境価値」と「ネガワット」の私設取引プラットフォームを創設すると発表した。環境価値の取り引きの活性化を促し、再生可能エネルギーや省エネ分野への投資拡大への貢献を目指す。
国内初となる環境価値を取り引きできるプラットフォームが立ち上がる。楽天とグローバルエンジニアリングは、環境価値やネガワットなどの「私設取引プラットフォーム」の創設に向けて合意したと発表した。立ち上げは2017年秋を予定している。
私設取引プラットフォームでは、「J-クレジット」「排出権」「非化石証書」などの環境価値の他、需要家が節電した電力量を意味するネガワットなどを売買することができる。それぞれの取引価格の設定をオープンにし、環境価値の取り引きなどの活性化を促す。これにより再生可能エネルギーや省エネ分野への投資が拡大することで、技術開発などを促進させる狙いだ。
なお、J-クレジットについては2017年秋のプラットフォーム創設に先駆けて、3月23日から楽天のWebサイト上で購入や売却を希望するユーザーへの取引仲介サービスを開始している。
2016年にパリ協定が発効され、世界全体で環境に対する関心が高まる中、J-クレジットや排出権取引が大手企業のカーボン・オフセットや、小売電気事業者の排出係数低減策として注目されている。
さらに再生可能エネルギーの普及拡大や、2017年にネガワット取引市場が創設されるといった動きに後押しされ、今後、環境価値やネガワットに関する取り引きは活発化すると見られている。電力システム改革の一環として、CO2を排出しない再生可能エネルギーなどに由来する電力に非化石証書を与え、売買できるようにする市場の整備も進められているところだ。
なお、2013年6月に電力事業を行う「楽天エナジー」を立ち上げた楽天は、2017年4月から本格的に電力小売事業を開始する予定だ。グローバルエンジニアリングは、デマンドレスポンスサービスや発電設備の販売・メンテナンス事業を手がけており、経産省のバーチャルパワープラントの構築実証で、アグリゲーターも務めている。
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