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貼れるフィルム型の太陽電池、積水化学が印刷技術で量産へ:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
積水化学工業は2017年3月、フィルム型色素増感太陽電池のロール・ツー・ロール方式での量産技術を完成させ、パイロット生産機をつくば事業所(茨城県つくば市)に導入した。
2万m2/年の生産能力
積水化学工業では、DSCの開発を完了するとともに、ロール・ツー・ロール量産技術も完成させた。室温化での電極形成工程からサブモジュール組み立て工程までを連続で行える。つくば事業所に導入したパイロット機の生産能力は、2万m2/年という。
またDSCの特長には、次の5つを挙げた。「低照度発電(500ルクス以下)」「薄い(1mm以下)」「軽い(ガラスの10分の1以下)」「曲がる」「貼れる(テープ加工可能)」である。従来、太陽電池が設置できなかった場所への適用が可能になる。
電子広告、IoTセンサー向けの独立電源向けの製品は、2017年上期をめどに販売を開始予定。価格帯は非公開としているが、積水化学工業の広報は「ボタン電池などと比較して競争力のある形にする」と語る。事業化にはパートナーとの連携も進めるとしており、まずはSecual(セキュアル)とDSCを用いた次世代センサーを共同で開発する。
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