東京電力、蓄電池事業を展開する英国ベンチャーへ出資:蓄電・発電機器
東京電力ホールディングスは、蓄電池事業を一般家庭向けに展開している英国ベンチャーのMoixaへ出資したことを発表した。出資額は50万ポンド(約7000万円)、出資比率は約3%となる。
約7000万円の出資
東京電力ホールディングスは、英国ロンドンに本社を置くMoixa(モイクサ)への出資を発表した。出資額は50万ポンド(約7000万円)、出資比率は約3%である。
モイクサは英国の住宅に適した小型で安価な蓄電池(2〜3kWh)を一般家庭向けに設置、販売、リースする事業を展開する2004年に設立したベンチャー企業だ。太陽光発電もセットにした販売も行っている。自社開発したソフトウェアやプラットフォームを活用し、複数の家庭に設置している蓄電池の充放電を遠隔で制御することで蓄電池の余剰電力を集約し、事業者に販売することなどで経済的なメリットを提供している。
具体的には、設置費用約2100ポンド(約30万円)の蓄電池(容量2kWh)を利用者が設置し、太陽光発電設備の余剰電力および電気料金が安い時間帯の電力を蓄電。電気料金が高いピーク時間帯に放電を行うことで、年間約210ポンド(約3万円)の電気料金の節減効果があるという。10年間で初期費用を回収することが可能である。
今後蓄電池のコストダウンを見込めば、回収期間はさらに短縮することも見込まれることから、モイクサは一般家庭向けの蓄電池の普及拡大に積極的に取り組んでいる。
国内では、家庭用太陽光発電による電力買取価格が低下傾向にある。今後蓄電池の価格がさらに低下すれば、太陽光発電の有効な活用方策として蓄電池の普及が進むと同時に、周波数調整力などの市場整備の進展に伴い、蓄電池の充放電により電力系統へ調整力を提供するソリューション事業の発展も期待されている。
東京電力はモイクサの知見を獲得し、国内の一般家庭向けに蓄電池ソリューション事業を検討するなど、新たなビジネスチャンスの創出につなげる方針だ。
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