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安価な燃料電池へ前進、”世界最高”の水酸化物イオン伝導性ナノシート蓄電・発電機器(2/2 ページ)

物質・材料研究機構(NIMS)は、層状復水酸化物ナノシートが実用化済みの燃料電池に用いられているNafionのプロトン伝導率に匹敵する酸化物イオン伝導性を示すことを発見した。高価な白金を利用しないアルカリ燃料電池の実用化などに寄与する成果という。

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燃料電池、水電解装置の開発へ

 イオン伝導性の材料では、周囲の温度および湿度などによってイオンの移動速度が変化することが知られている。水酸化物イオン伝導性も下記の図から分かる通り、温度および湿度の影響を強く受けることが実証されている。活性化エネルギーは湿度の増加により減少し、水の存在が水酸化物イオン伝導を促進していることが分かる。

 ナノシートの場合、剥離により表面が最大限に露出していることにより、シート表面に水分を含ませて、豊富な面上イオン伝導チャンネルを提供すると考えられる。層が幾重にも積み重なった構造を有する層状復水酸化物と比べて、単層ナノシートの表面がより多くの水分を吸着し、水酸化物イオンが自由に動くことが可能となる。それに応じてイオン輸送特性が、著しく向上されることが考えられるという。

 「層状化合物を層1枚にまで剥離したナノシートにすることで、新奇な物理的および化学的特性をもたらす可能性をあらためて示す結果といえる」(同研究グループ)


ナノシートのイオン伝導率は温度と湿度の増大とともに増加する※再掲 (クリックで拡大) 出典:NIMS

 同研究グループは今後、ナノシートを固体電解質材料として効率的に電気を発生する燃料電池、水を電気分解する水電解装置の開発を重点的に行う予定とした。

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