丸紅、火力発電所にGEのPredix導入 世界展開も検討:エネルギー管理
丸紅は所有する天然ガス焚き複合火力発電所に、GE Powerの産業向けIoTプラットフォームを導入する。プラント運営全体を最適化することで、収益の増加とコスト削減を目指すという。
GE Powerの「Predix」を導入
丸紅は所有する天然ガス焚き複合火力発電所「中袖クリーンパワー」に、GE Powerの産業向けIoTプラットフォーム「Predix(プレディックス)」を導入すると発表した。2017年4月から導入作業を開始し、2018年3月から本格稼働を予定する。
Predix導入により、中袖クリーンパワーは予兆検知による発電機器の保守を最適化するAPM(Asset Performance Management)や、発電所の運転効率の改善を可能にするOO(Operation Optimization)といった専用アプリケーションに接続される。
機器に設置したセンサーを通じて得られたデータは、Predixアプリケーションで物理工学モデルや実証的、経験的知見に基づいた機械学習やAI(人工知能)で分析。リアルタイムで可視化することによって、より迅速で高精度な意思決定を実現するという。これによりプラント運営全体の最適化を実現し、収益の増加とコスト削減を目指す。
中袖クリーンパワーは千葉県袖ケ浦市の旭化成千葉工場内に設置され、2008年から運転を開始している。主要な設備はガスタービン2基と蒸気タービン1基、発電機3基をそろえる。発電容量は100万W。丸紅火力が、2014年1月にF-Powerから買収した。
丸紅は世界23カ国で、計11GW以上の持分発電容量を所有している。Predix導入で培った経験やノウハウを、その他の電力ビジネス全体に適用することを検討していく。
なお2016年9月には東京電力が、東京湾岸に展開する「富津(ふっつ)火力発電所」において、Predixを導入した発電設備の効率改善に取り組むことも発表している。
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