ガスタービンを助ける”世界初”の蓄電池、再エネ導入に役立つ:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
米カリフォルニア州で世界初の火力発電システムが稼働した。GEと同州の大手電力会社が開発した蓄電池とガスタービンを組み合わせたシステムだ。積極的な再生可能エネルギーの導入を進めるカリフォルニア州において、系統安定化にかかるコストの削減に寄与するという。
蓄電池の導入を義務付けるカリフォルニア州
カリフォルニア州では再生可能エネルギーの積極的な導入に伴い、同州の大手電力会に対して段階的な蓄電システムの導入を法律で義務付けている。これは「AB2514」という2010年9月に制定された州法で、対象となる電力会社はSCE、Pacific Gas & Electric Company(PG&E)、San Diego Gas & Electric(SDG&E)の3社だ。2024年までに3社合計で1325MWの蓄電池の導入を義務付けている。
蓄電池の導入を義務付けているのは、もちろん再生可能エネルギーの導入拡大に伴う出力変動対策という目的がある。ただし、単に需給を一致させるというだけでなく、太陽光発電の増加に伴う朝夕の急激な需要変動の抑制という目的がある。太陽光発電は朝から夕方にかけては発電するが、日が落ちると急激に発電量が低下する。その際に電力会社はガス火力などで発電量を補う必要がある。
しかし、こうした状況が続く場合、運転時間が限られるガス火力の経済性は悪化するが、閉鎖することもできず、待機状態にしておかなくてはいけないというジレンマが生じる。そこで蓄電池を導入し、太陽光発電が日中に発電する電力の一部を貯蔵して夜間に放電することで問題を解消しようという考えだ。
SCEは2024年までに580MWの蓄電池を導入する必要がある。今回のGEと共同取り組んだ蓄電池を組み合わせたガスタービンシステムの導入も、こうした背景に基づくものだ。なお、州内の電力会社に対して蓄電池の導入を義務付けた州は、全米の中でカリフォルニア州が初となる。再生可能エネルギーの導入を拡大する上で、蓄電池の活用は切り離せない存在になりつつある。
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