東芝子会社、石炭火力をバイオマス発電所に転換:自然エネルギー
東芝子会社が運営する三川発電所(福岡県大牟田市)は、木質バイオマスと石炭の混焼による発電から、バイオマス主体の発電所にリニューアルし、2017年4月27日から営業運転を開始した。
CO2排出量を30万トン削減
東芝子会社のシグマパワー有明が運営する三川発電所(福岡県大牟田市)は、バイオマス発電所として営業運転を開始した。三川発電所が事業を開始したのは2005年5月1日、当時は石炭による発電だった。2008年から木質バイオマスと石炭の混焼による発電を開始し、2017年4月27日から東芝グループ初となるバイオマス主体の発電所となった。
主燃料はパーム椰子殻(以下、PKS:Palm Kernel Shell)を採用し、従来と比較してCO2排出量を年間約30万トン削減できる。PKSは主にインドネシアから輸入し、発電所に近接する三池港から年間約20万トン陸揚げするという。またPKSを最大3万トン貯蔵できるサッカーグラウンド約3面分の専用置場を発電所構内に設置している。
発電出力は5万kW(キロワット)で、一般家庭約8万戸に相当する電力を供給する。
東芝では、CO2分離回収技術や高効率発電機器の実証を行う開発拠点としても三川発電所を活用している。東芝やみずほ情報総研など13法人は2016年7月に、環境省が公募する「環境配慮型CCS実証事業*)」に採択された。2016〜2020年度にかけて発電所から排出されるCO2の分離、回収する大規模な設備を建設し、評価を進めていく。
*)CCS:Carbon dioxide Capture and Storage、二酸化炭素の回収・貯留を意味する。
実証の中枢を担うCO2の分離・回収設備が、三川発電所内に建設される予定である。2016年7月の発表によると、1日に排出されるCO2の50%に相当する500トン以上のCO2を分離・回収する。2020年度までにCCS技術の実用化を目指す計画だ。
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