ニュース
“空調を丸ごと外に出す”冷却システム、データセンターの新たな常識となるか:省エネ機器(2/2 ページ)
NTTファシリティーズは、2017年5月10〜12日に東京ビッグサイトで開催された「データセンター展」で、“空調を丸ごと外に出す”冷却システム「Oasis(オアシス)」を展示した。
「バルコニータイプ」を展開
Oasisは同社がスウェーデンMuntersと2016年8月に事業提携を行い、国内における独占販売権を取得して提供を開始した。上田氏によると、欧州では郊外の広い敷地に平屋あるいは2階建てのデータセンターを建設するケースが主流である。また間接蒸発冷却システムの普及は進んでいるが、多くの場合は屋上に設置するという。
日本では都市部の限られた敷地に、多層型データセンターを建設するケースが多い。限られた屋上面積で、高発熱・高密度に設置された装置を冷却しなければならない。そのためNTTファシリティーズでは、国内展開に当たり「バルコニータイプ」を発表した。国内市場向けにカスタマイズした製品で、名前の通りバルコニーへの設置が可能だ。
標準品とは異なり給排気方向を同一側面とすることで、接地面積に制約のある屋上ではなく、各階でのバルコニー設置を実現。都市部における騒音対策として、バルコニータイプ用に最適化したサイレンサーの取り付けにより、騒音値を低減したとする。
普及に向けて課題はまだ多いとしているが、上田氏は「国内市場にOasisのような新しい概念を取り入れることに、1番意義があると考えている」と語った。
関連記事
- 膨大な電力を消費するデータセンターの節電に、直流380Vの給電システム
インターネットの拡大に伴って全世界で膨張を続けるデータセンターでは大量の電力を消費する。停電時にも電力を供給し続けるために、蓄電池を内蔵した給電システムが不可欠だ。通常の交流による電力の供給方法に代わって、高電圧の直流を使った給電システムが新たな節電対策になる。 - 電力の「1割」使うデータセンター、改善策は雪と排熱
データセンターは電力消費量が大きい。中でも空調用電力が約4割を占める。インフラが整った雪国であれば、空調用電力を削減できる。データドックが新潟県長岡市に立ち上げるデータセンターは、雪を使い、排熱を再利用する。 - 海底に沈め海水で冷やすデータセンター、マイクロソフトが実証
拡大するデータセンターの大きな課題となっているのが、サーバが生み出す熱とその冷却に要する電力の問題だ。その問題に対し、ユニークな解決策の実証に取り組むのがマイクロソフトの「Project Natick」である。 - 風力100%のデータセンター、フェイスブックが米国アイオワ州で運営開始
データセンターの省エネに取り組むフェイスブックが米国で4番目のデータセンターを稼働させた。エネルギー効率の高い機器類と外気を活用した冷却システムを導入する一方、データセンターで使用するすべての電力を近隣の風力発電所から購入する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.