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巨大風車の建設に新手法、クレーン不要で施工費20%削減自然エネルギー(1/2 ページ)

大きな風車を建設する場合、超大型クレーンを利用するのが一般的だ。しかし国内に台数が少ない超大型クレーンの調達は容易ではなく、広い施工ペースも必要になる。そこで大林組は3MW級の大型風車でも大型クレーンを使わずに施工を行える新手法を開発した。「ウインドリフト」という独自開発の装置を活用することで、施工コストを10〜20%削減できるという。

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 大林組は巴技研と共同で、大型風車の建設工事に掛かる費用やリスクを低減できる新しい手法を開発した。「ウインドリフト」という新開発の装置を利用することで、超大型クレーンを使わずに大型風車を設置できるという。


「ウインドリフト」を利用した新工法のイメージ 出典:大林組

 国内で建設が進む風力発電所では、発電効率を高めるために大型発電機が採用される傾向にある。それに伴い風車の中心部であるハブやブレードなどで構成されるローターの径が大きくなり、支柱も高くなるなど、風車自体の大型化が進んでいる。

 風車を大型化すると上空の強い風を捉えられるという発電上のメリットがある一方、資材運搬や施工条件の制約も大きくなる。そのため現在陸上用の風車では、発電容量3MW(メガワット)クラス、支柱高さが90m程度が利用できる最大の風車になっているという。

 風車の建設には複数の施工方法がある。ハブとブレードを地面で水平に組み立て、建て起こしながら支柱上端部へ上げていく地組工法や、ハブとブレードをそれぞれ直接支柱上端で取り付ける「シングルブレード工法」が一般的だ。

 これらの一般的な工法において、3MWクラスの風車を建設するためには、部材の組み立てや取り付けに1200t級の超大型クレーンが必要になる。しかし、超大型クレーンは国内には数台しかないため調達が難しく、現場への輸送も容易ではい。さらに大きな施工ヤードが必要になることなどが課題となっていた。

 こうした課題の解決に向けて開発したウインドリフトは、3MWクラスの風車を建設する場合でも超大型クレーンを使用せず、部材をリフトアップすることで風車を組み立てられる装置だ。これまでにも同様の装置はあったが、3MWクラスの大型風車には対応していなかった。さらにハブとブレードの建て起こし機能を加えるなど、高機能化も図っている。超大型クレーンを設置する場所などが不要となり、最小限の施工ヤードで工事を行うことができるというメリットもあるという。

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