蓄電池で変動を吸収、北海道に4.4MWのメガソーラー:太陽光
日本アジア投資は北海道帯広市に蓄電池併設型のメガソーラーの建設を進めている。出力4.4MWで容量2.2MWh(メガワット時)の蓄電池を併設する。北海道電力が出力変動対策として蓄電池の設置を求めていることから、道内では蓄電池併設型メガソーラーの建設が活発になっている。
北海道で蓄電池を併設するメガソーラーの建設が相次いでいる。日本アジア投資は2017年5月19日、帯広市で計画中のメガソーラー「帯広ソーラーパーク」において、太陽光発電設備の設置工事を開始したと発表した。
帯広ソーラーパークは約4.4MW(メガワット)の太陽光パネル設置容量を備え、年間約530万kWh(キロワット時)の発電量を見込んでいる。一般家庭に換算して1500世帯分の年間電力消費量に相当する量だ。稼働は2018年3月を予定している。
投資額は22億円で、日本アジア投資はこのうち75%を北海道銀行からのプロジェクトファイナンスによって調達している。発電した電力は北海道電力に売電し、買取価格は税別40円/kWhだ。
発電所には太陽光発電の急峻な出力変動を緩和するため、容量約2.2MWhの蓄電池を設置する。北海道電力は系統への接続申し込みが400MWを超えた分のメガソーラー案件について、系統連系の条件に蓄電池の併設を求めている。具体的には「メガソーラー出力の変動幅を蓄電池の充放電制御と連係した合成出力で1分間にパワコン定格出力の1%以内に収める」という技術要件を提示している。
こうした背景から北海道では蓄電池併設型のメガソーラーの建設が相次いでいる。フージャースコーポレーションが北海道沙流郡に建設した「日高庫富太陽光発電所」や、大林組が北海道釧路郡に建設した「釧路メガソーラー」が4月から稼働している。この他、SBエナジーと三菱UFJリースが計画する国内最大級の蓄電池併設型メガソーラー「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク2」が2020年度の稼働を予定している。
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