東電が火力発電の運用保守ノウハウを外販、新たな収益源の確保へ:エネルギー管理
東京電力フュエル&パワーは火力発電所などの運用保守のノウハウを外販する。アジア新興国などに対するO&Mサービスの展開を進め、新たな収益
東京電力フュエル&パワーは、このほど同社の保有するO&M(運用保守)に関わる技術およびノウハウを他発電会社などへ提供する、O&Mビジネスを本格的に開始すると発表した。
既に第1号案件として、ジャワ・バリ電力(PJB社、インドネシア・スラバヤ)に対し、発電所の維持管理を包括的に指導できる社内指導員を育成するソリューションを提供し、研修を実施している。
この事業は、同社が火力発電所O&Mに係る指導者の育成を支援するサービスで、2017年5月15日〜23日まで同社人材育成センターにおける研修を行い、その後、同年7月まで現地でのOJTならびにフォローアップ研修の実施を予定している。
東京電力フュエル&パワーは燃料・火力発電事業を担う東京電力グループの事業会社。世界トップクラスの火力発電所の運営では、O&M技術の向上が不可欠であり、人材育成はより高度なO&M技術を達成するための重要な基盤であると考えられている。同社では今回の事業により、顧客ニーズに応じたカリキュラムを体系的に提供し、顧客の持つ人材に係る潜在的ポテンシャルを最大限引き出すことで、国内外における世界トップクラスの発電所運営の実現を目指す。
同社は現在、保有する技術やノウハウ等を国内外の顧客へ幅広く提供するため、APEC(Asia-Pacific Economic Cooperation)作業部会で合意されたAPECガイドラインをベースにした「質の高い電力インフラ」の規格策定に着手している。今後、グローバルスタンダードになる可能性のある火力発電所運営手法を確立し、アジア新興国などに対するO&Mサービスの展開を加速し、収益拡大に取り組む方針だ。
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