東京電力がIoT住宅の“プラットフォーマー”へ、ソニー発AIベンチャーの技術がカギに:スマートハウス(2/2 ページ)
東京電力がIoTを活用した住宅向けエネルギーマネジメントサービスの開発に向けて、大和リビングマネジメントと共同で実証実験を開始する。ソニー発のベンチャー企業であるインフォメティスとも提携し、同社が持つ「機器分離推定技術」で電力の使用状況に応じて家電製品を自動制御し、エネルギーを効率運用できるサービスの開発を目指す方針だ。
技術のカギを握る、ソニー発のベンチャー企業と提携
東電PGは大和リビングマネジメントとの実証実験と同時に、ベンチャー企業であるインフォメティスとの業務提携も発表。提携の目的は住宅内の電気の使用状況などの情報を収集・蓄積・加工できるIoTプラットフォームを利用したサービスの開発だ。
インフォメティスは2013年にソニーからスピンアウトしたAI(人工知能)ベンチャー企業で、「機器分離推定技術」という独自技術を強みとしている。これは先述した実証実験で利用している「電気の使用状況から家電製品の種類ごとの利用情報が抽出可能な電力センサー」に生かされている。
東電PGは、2016年11月7日〜2017年3月31日までの間、日立製作所とパナソニックと共同で、IoTプラットフォームの構築を目的に、約100戸の住宅を対象に実証実験を行った。その中で、インフォメティスと共同で家電製品別に電気使用の変化をリアルタイムに検知するための電力センサーや、機器分離推定技術についての有効性を確認したという。
今回の提携はこうした成果を受けたもので、今後は電力センサーから得られる電気の使用状況に関する情報を、提携するサービス事業者のニーズに応じて分析・加工するアルゴリズムの開発や、温度や湿度などを検知する環境センサーなど、電気の使用状況以外の情報を得るセンサーを東電PGのIoTプラットフォームに連携できるようにする。
東電PGはこのIoTプラットフォームを、さまざまなサービス事業者にも提供する方針。サービス事業者にとっては、このプラットフォームを活用することで、東電PGのスケールメリットを生かした広いユーザーをターゲットにすることが可能になるとしている。
具体的には、家電製品ごとの電気の使用状況や、それらを加工した電気の使用量予測、在宅状況などの情報を利用し、電気の使用状況から家電製品を自動制御する住宅向けサービスや、見守り・安否確認などのセキュリティーサービスなどを、2018年以降に提供することを目指すとしている。
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