京都府にパーム油を使うバイオマス発電所、2600世帯分を発電:自然エネルギー
非食用パームオイルを燃料に利用するバイオマス発電所が京都に完成した。三恵エナジーが福知山市に建設した発電所で、年間2600世帯分の発電量を見込んでいる。同社によると、パームオイルを利用した発電所には他の発電方法と比較して複数のメリットがあるという。
アブラヤシの果実から得られる「パームオイル」を燃料に利用するバイオマス発電所が完成した。再生可能エネルギー事業に取り組む三恵エナジーが、京都府福知山市に建設した「三恵福知山バイオマス発電所」だ。2016年6月30日からの稼働を予定している。
パームオイルは食用油や石けんなどの原料として利用されており、三恵エナジーが利用するのは非食用のパームオイルだ。海外からの安定調達が課題だったが、三恵エナジーはマレーシアやインドネシアから調達ルートを確保した。建設した発電所の発電容量は1.76MW(メガワット)で、年間2600世帯分の発電量を見込んでいる。
三恵エナジーはパームオイルを利用した発電事業について、以下のメリットを挙げている。1つは燃料さえあれば、天候や時間帯の影響を受けずに発電プラントを稼働させられるため、事業計画を立てやすいという点。さらに、土地や設備がコンパクトで済み、施設規模が同程度の太陽光発電と比べて約6倍の発電量を確保できるという。
同社は今後、日本国内におけるパームオイル発電の普及促進を目指す。「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」における設備認定の取得や電力申請のコンサルティング、燃料の安定調達に関するアドバイスなど、パームオイル発電事業に関するサポート事業も推進するとしている。
※公開当初、非食用パームオイルのバイオマス燃料利用は「日本初」と記載していましたが、既に国内での導入例があったため、訂正いたしました。お詫び申し上げます。
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