新型のCIS薄膜太陽電池を開発、発電性能と機能の両面を改良:太陽光
ソーラーフロンティアは新型のCIS薄膜太陽電池を開発した。太陽電池セルの製膜プロセスを改良することで、同じサイズの現行製品と比べて出力を高めた。モジュール構造設計の改良などで機能性も向上させた。2017年9月8日から受注を開始する。
ソーラーフロンティアは、出力および機能性を向上した新型CIS薄膜太陽電池「SFKシリーズ」の出荷を2018年1月から開始すると発表した。新製品は180Wの「SFK180-S」と、185Wの「SFK185-S」と出力別に2種類の型式をラインアップ。モジュール構造を改良することによって、排水性や意匠性などの機能面の向上や軽量化も実現したという。
同社は消費者の電力自給自足への関心の高まりや、政府が進める2020年の「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」標準化政策を受け、国内の住宅市場を注力領域としており、太陽電池モジュールの改良に取り組んできた。このほど、研究開発の成果を生産工場へと適用し、太陽電池セルの製膜プロセスを改良した。これにより、同じサイズの現行品「SF175-S」と比べて出力を最大10W高めている。エネルギー変換変換効率も高まっており、SFK180-Sは現行品より0.5ポイント高い14.7%、SFK185-Sは15.1%としている。
機能面では、太陽電池モジュールの構造設計を改良し、構成材料の変更や減量化を行うことで、質量を現行品より1.5kg軽い18.5kgに軽量化した。また、新しいフレーム構造を採用したことにより、パネルを水平設置した際の水切り性能が向上し、汚れの付着による出力低下を抑える機能が加わっている。この他、太陽電池モジュールの表面に露出していた銀色の配線を無くし、黒一色の外観が際立つよう意匠性にも改良を加えた。
新製品は、宮崎県の国富工場で生産を行う。受注は2017年9月8日から、出荷は2018年1月5日からを予定。積雪などに備えて耐荷重をさらに高めたシリーズも順次発売する計画だ。なお、新製品の発売に伴い、現行のSFシリーズの一般販売は2017年末での終了を予定している。
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