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「人工光合成ハウス」実現へ、CO2を消費してエネルギー完全自給:スマートハウス(2/2 ページ)
太陽光エネルギーを利用し、CO2を新たな燃料に変換する人工光合成技術。地球温暖化対策や新しいエネルギー利用の手法として注目が集まるこの技術を、住宅に応用する注目の実証実験が沖縄で始まる。太陽光エネルギーを利用してCO2と水から水素の燃料となるギ酸を生成・貯留する。ギ酸から水素を生み出し、住宅のエネルギーとして利用するという。
カギとなる2つの技術
同大学と飯田GHDによる共同研究部門は、2017年に「太陽光エネルギーを利用して高効率でギ酸を生成・貯蔵し、このギ酸から水素を生成する人工光合成技術」と、「生成した水素から高効率で発電する技術」の2つを開発した。
特に太陽光を利用したギ酸および水素の生成技術については、色素・ビオローゲン・ギ酸脱水素酵素による太陽光駆動型二酸化炭素ーギ酸変換系を金属酸化物基板上にデバイス化することに成功。さらに金属酸化物として酸化チタンを用いることで、ギ酸の生成効率が従来比約6倍に向上した。また、酸化チタンを用いる事で、ギ酸脱水素酵素が不要となる事も発見した。現在は最適なビオローゲンを用いることで、生成効率は約12倍まで向上しているという。
酸化チタン薄膜基板上に色素・ビオローゲンを担持させたデバイスの採用によるギ酸生成の高効率化により、例えば戸建住宅の屋根に搭載したギ酸生成装置で得られたギ酸を貯蔵し、更にギ酸を水素に変換、発電する事で、住宅が消費する電力をすべて賄うことが出来る可能性が高まったという。
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