インテルが「エネルギー×IoT」に本腰、プラットフォーム構築へ:電力供給サービス
インテルは、日本国内のエネルギー企業およびサービス事業者向けIoTプラットフォームの構築に向けた取り組みを開始する。需要家の電力使用データの収集・分析、さらにはサービス提供基盤としての機能も持つプラットフォームで、2018年4月から電力会社などと協力して実証実験を開始する計画だ。
インテルは2017年7月19日に東京都内でプライベートイベント「エネルギー×IoT フォーラム 2017」を開催。その中で、日本国内のエネルギー企業およびサービス事業者向けのIoTプラットフォーム「エネルギーコレクティブ プラットフォーム」の構築に向けた取り組みを開始すると発表した。需要家の電力使用データの収集・分析、さらにはサービス提供基盤としての機能も持つプラットフォームで、国内のエネルギー関連企業などと共同開発を進め、2018年4月から実証実験を開始する計画だ。
2016年4月から始まった電力の小売全面自由化を皮切りに、国内のエネルギー業界は大きな転換期に突入した。電力市場には300社を超える新規プレイヤーが参入し、顧客獲得、あるいは既存顧客の維持に向けた競争が激化している。それに伴い、単に電気を売るのではなく、顧客の体験価値を考えたサービスをいかに提供できるかが重要な差別化のポイントになりつつある。付加価値を加える上では、普及が進むスマートメーターなどから得られるデータの分析・活用も重要なポイントだ。
インテルが構築を目指すエネルギーコレクティブ プラットフォームは、「エナジーゲートウェイ」と呼ぶ電力センサーと、ホームゲートウェイの機能を持つ装置を住宅内に設置し、電力使用量や蓄電池、各種センサーから得られるデータを集め、「エネルギーコレクティブ クラウド」と呼ぶクラウドに集約する。このクラウドプラットフォームは家電や電気設備の使用状況、需要予測などの分析を行う機能などを備えている。電力会社はエネルギーコレクティブ クラウドと顧客情報システム、ディスパッチセンターなどを連携させることで、プラットフォームの機能を活用できる。
エネルギーコレクティブ プラットフォームのもう1つの特徴が、家庭向けサービスの提供・管理プラットフォームとしても活用できるという点だ。エナジーゲートウェイはサービス事業者に対し、家庭向けサービスの共通IoTプラットフォームとしても提供する。各種センサーデータのゲートウェイとしても機能するため、従来のようにサービスごとにゲートウェイを新設する必要がなくなるという。
電力会社の視点からこのプラットフォームを見た場合、需要予測や顧客分析などが行える他、家庭と契約済みのサービス事業者に対し、データや分析結果を提供することで、新たな収益源の確保が行えるとする。サービス事業者の視点では、電力会社の顧客データベースへのアクセス、既存プラットフォームを活用した低コストなサービス提供が可能になることで、初期投資を抑制できるといったメリットが期待できる。なお、プラットフォームはオープン化し、サービス開発のためのAPIを提供する計画だ。
消費者側はこのプラットフォームを利用することで、最適な電気料金プランを選べるだけでなく、自分に合ったサービスを選択できるようになるメリットが期待できるとしている。
インテルは今後、2017年8月〜12月に電力会社などと共同でエネルギーコレクティブ プラットフォームの日本国内向けに最適化していく。同年9月からはサービス事業者によるサービスのインテグレーションも進める計画だ。既にヘルスケア、保険分野の企業との協業を検討しているという。その後は協力企業とプラットフォームの検証を進め、2018年4月から実証実験を開始する方針だ。同時に、プラットフォームを利用するサービスの開発環境オープン化も行うとしている。
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