太陽光発電の初入札が迫る、知っておくべき制度と手順のポイント:太陽光(2/2 ページ)
改正FIT法の施行で、今後2MW(メガワット)以上の太陽光発電事業は買い取り価格を入札で決める方式に変わった。初回の入札は2017年秋に行われる予定だ。その前に、入札制度の概要と手順のポイントについておさらいしよう。
入札参加資格の合否は、事業計画を提出した全ての事業者に通知される。参加が認められた場合、まず行わなくてはいけないのが、第1次保証金の振り込みだ。入札を行う前日までに振り込みを済ませておく必要がある。単価は500円/kWだ。第1次保証金は不正な入札や、事業計画に虚偽の記載があった場合に全額没収となるが、通常は入札結果を公表した翌日から2週間以内に全額返還される仕組みになっている。
第1次保証金を振り込んだ後は、いよいよ実際の入札作業に入る。入札は低炭素投資促進機構から通知される専用システムを通して行うことになっている。入札の仕組みは、先述した通りだ。なお、同じ価格で入札をした事業者が複数いた場合、落札者の順位はくじで決めることになっている。また、最終順位の落札者の発電設備出力と、他の落札者の発電設備出力との合計が入札上限量を超える場合は、最終順位の落札はなかったものとみなされる。
入札結果は2017年11月21〜27日の間に各事業者に通知される予定だ。結果は、低炭素投資促進機構のWebサイト上でも公開する。なお、落札できなかった場合、通知は行われない。
落札後に注意したい「接続契約」
落札した事業者は2017年11月21日〜12月5日の間に、第2次保証金を振り込む必要がある。期限内に振り込みを行わないと、落札が無効になると同時に、第1次保証金も全額没収となるので注意が必要だ。第2次保証金の単価は5000円/kWだが、第1次保証金が第2次保証金の一部に充当されるため、差額を振り込めばよい。第2次保証金は発電設備の運転開始後に全額返金される。
落札が完了した後は、設備認定の取得に入る。入札に参加している時点で、認定申請の手続きを行っているため、再度申請する必要はない。ただし、ここで注意が必要なのが、電力会社との系統接続契約だ。
事前に接続契約を済ませ、入札参加資格の審査時に事業計画および認定申請を提出した際に「系統接続に係る事項の記載」「接続の同意を証する書類の添付」を行っている場合は問題がない。一方、行っていない場合は、2018年2月16日までに契約を済ませると当時に、必要書類を各経済産業局に送付しなくてはいけない。入札に参加する場合は、電力会社との接続契約も並行して進める必要がある。
認定取得後は、事業計画の変更も可能になる。ただし、運転開始予定日は認定取得後に変更することができない。改正FIT法にもとづいて、落札案件についても「認定取得後から3年以内」という運転開始期限が付与される。もし、3年以内に運転開始できない場合は、20年間の買い取り期間が短縮されると同時に、第2次保証金が全額没収される仕組みになっている。
ただし、事業計画に記載する運転開始予定日は、認定取得日から3年以上経過した日付で設定することは問題がない。この場合、運転開始期限を超えた分だけ調達期間が短縮されるが、第2次保証金が没収されない。
入札に関するより詳細な情報や手順は、低炭素投資促進機構のWebサイト上で公開されている。参加を検討する事業者は事前によく確認しておきたい。
関連記事
- 2017年度に開始する太陽光発電の入札制度、買取価格の低減へ
政府は2017年度から実施する太陽光発電を対象にした入札制度の詳細設計に入った。第1回目の入札を10月に実施する予定で、入札量や上限価格をまとめた指針を2月に公表する。ヨーロッパの先進国では買取価格の引き下げ効果に差が見られることから、各国の実績を参考に入札制度を設計する。 - 2017年4月から変わる固定価格買取制度、知っておくべき改正ポイント
再生可能エネルギーの固定価格買取制度を定めた法律が2017年4月1日に改正される予定だ。買取価格の決定に入札方式や複数年度方式を導入して制度を抜本的に変更する。発電設備の認定基準の項目も大幅に増やして、太陽光発電の規制を強化するなど、事業者に与える影響は大きい。 - 太陽光発電の入札は2017年10月めどに実施、2MW以上の設備を対象に
2017年度から太陽光発電を対象に実施する入札制度の大枠が固まった。政府は2017年10月をめどに初回の入札を実施した後に、2018年度には2回の入札を実施する方針だ。合計3回分の入札条件を一括に決定する方式が有力で、入札量や入札価格の上限を含めて2017年3月までに詳細を確定させる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.