インドが悩む電力供給、太陽光のマイクログリッドで解決:太陽光
インドで日本企業3社が太陽光とディーゼル発電機を組み合わせたマイクログリッドを構築する実証が始まった。インドは電力需要が年平均4.9%のペースで拡大しており、電力の安定供給が課題となっている。日本のマクログリッド技術の有効性を実証し、インドでの普及につなげる狙いだ。
日立製作所、日立システムズ、伊藤忠商事の3社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業で、インドのデリー・ムンバイ産業大動脈開発と共同で、同国ラジャスタン州ニムラナ工業団地のユーザー企業に対し、太陽光発電を活用した電力供給を実現するマイクログリッドシステムの実証を開始した。
インドでは経済発展に伴い、電力需要が年平均4.9%のペースで拡大している。2025年までに電力需要はEUを上回り、中国と米国に次ぐ電力消費大国になると見込まれている。だが、慢性的な電力の不足により電力供給は不安定な状況であり、インドに生産設備を持つ企業は安定した電力供給を強く求めているという。また、インド政府は再生可能エネルギーの導入促進計画として、2022年までに175GW(太陽光・熱発電100GW、風力60GW、バイオマス10GW、小水力5GW)の導入目標を掲げている。
こうした中で、日立など3社はNEDOの委託により、日印共同のデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(日印共同の地域開発構想)のもと、太陽光発電システムと複数のディーゼル発電機を連携したマイクログリッドシステムを構築し、ディーゼル燃料の消費量を抑制しながら、安定した電力を供給するマイクログリッドシステムの実証を開始した。
このマイクログリッドシステムは、1MW(メガワット)規模の太陽光発電システムと、ディーゼル発電機を組み合わせて制御する。既に試運転は完了しており、このほど実証事業の開始に至った。実証では発電した電力を同工業団地内にあるMIKUNI INDIAに供給していく。実証期間は2年間で、予算規模は約39億円(うちNEDO委託分34億円)。日本のマイクログリッド技術の有効性を実証し、インドでの普及を目指す方針だ。
同工業団地内では2015年7月から、日本の薄膜太陽電池パネルの性能検証も行っている。5MW規模の太陽光発電設備を設置し、インドの厳しい日射環境を利用し、発電性能などを検証している。
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