中小企業が電力の契約先を変えない理由、1位は「現状に不満なし」:電力供給サービス
大同生命が国内中小企業4378社を対象に実施した独自調査によると、電力自由化に伴い電力購入先を変更した企業は、約1割程度。変更しない理由の1位は「今の電力会社に不満がない」だった。
大同生命保険は全国の中小企業経営者を対象に毎月実施しているアンケート調査「大同生命サーベイ」(回答企業数4378社)で、2017年7月は個別テーマとして「電力小売自由化」について調査した。
それによると「電力の小売全面自由化(2016年4月)を契機に、事業所の電力購入先を変更したか」の問いに対して、約4割の経営者が「検討した」と回答した。ただ、実際に変更した企業は約1割にとどまっている。業種別では「製造業」では約5割が「検討した」と回答し、他業種に比べ多くなっている。また、検討のきっかけは「電力会社の営業」が約4割と最も多く、次いで「知人や取引先の勧め」「電気料金の高騰」となった。一方で、変更した経営者では「知人や取引先の勧め」が多くなっている。
「電力購入先を選ぶうえで『重視すること』や『期待する電気料金(月額)の削減割合』について」の問いには、「価格」が約6割と最多で、次いで「電力の安定性」と「電力会社の信頼性」が約3割となった。購入先変更で期待する電気料金の削減割合では「下がれば良い」が約4割と最も高い。
「電力購入先変更後の『電気料金の削減割合』と『満足度』はどの程度か」の問いには、変更後の電気料金の削減割合では「10%未満」が約9割を占めた。変更後の満足度では「満足している」が約6割と過半数を上回った。
「電力購入先の変更(検討)に至っていない理由は何か」の問いについては、「今の電力会社に不満がない」が約4割と最も多く、次いで「電力の安定性が不安」「供給事業者やサービスがわからない」となった。検討したが変更しなかった経営者では「変更前後で電気料金に大きな差がない」も約3割と多くなっている。
「省エネルギー推進に向けて取り組んでいることは何か」に対しては、省エネルギー推進に向けた設備投資ではLED電球など「省エネ型機器への買替」が約5割、運用による取り組みでは「不要な照明の消灯や撤去」が約6割と多数を占めた。
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