太陽光で電力の80%を賄う、兵庫県で自営線を使う大規模スマートシティ:スマートシティ
兵庫県芦屋市で、太陽光発電と蓄電池を導入した117戸の住宅を自営線で接続し、街区全体でエネルギーを有効利用する大規模なスマートシティの構築が始まる。
兵庫県で大規模なスマートシティの構築が始まる。パナホーム(大阪府豊中市)、エナリス(東京都千代田区)、興銀リース(兵庫県神戸市)、兵庫県企業庁の4者は、2017年10月から兵庫県芦屋市で、分散型エネルギー制御システム(マイクログリッドシステム)を導入した街づくりに着手すると発表した。
経済産業省の「平成29年度地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金」の採択を受けて実施する事業で、兵庫県芦屋市で開発中のパナホーム スマートシティ潮芦屋「そらしま」のD4街区全117住戸に、パナソニック製の太陽光発電設備、蓄電池、HEMSを導入。さらに自営線を敷設し、各住戸の蓄電池を通信ネットワークを通じて制御して電力融通を行えるようにする。宅地への自営線敷設によって、117戸の住戸間で双方向の電力融通を実現する事業は、日本初という。
一戸当たりに導入する太陽光発電システムの容量は4.2kW、蓄電池は11.2kWhを予定する。これにより、街区内にあたかも“1.3MWhの巨大な蓄電池”が存在するかのようにし、電力の余っている住戸から、足りない住戸に電力を融通できるようにする。
街区全体で利用する電力の80%以上は、太陽光発電で賄うことができる見込みだという。電力が不足する時間帯は新電力などからFIT電源の電力を調達する。電気料金については、自営線を敷設することで、住宅地での一括受電や蓄電池の自由な制御、柔軟な電気料金の設定が可能になるため、約20%低減できるとしている。非常時に系統電力が遮断された場合でも、域内の太陽光発電と蓄電池の電力を融通し、冷蔵庫や照明、携帯電話の充電などの特定回路に給電を行える仕組みを整える。
システムの完成および、事業の開始は2018年10月からを予定している。建物間での電力融通や、海外の電力系統がぜい弱な地帯でニーズが高い無停電システムの構築など、システムの海外展開に向けたショーケースとしての役割も担う予定となっている。自家消費型の再生可能エネルギーの活用モデルとしても、注目の事業だ。
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