大東建託と東京電力パワーグリッド(東電PG)は2017年10月、東電PGが提供する宅内IoTプラットフォームを活用したスマート賃貸住宅の共同実証試験を開始すると発表した。
実証試験は対象となる住宅の分電盤に、住宅全体の電気の使用状況を測定する専用電力センサーを設置し、電力データを活用した新たなサービスを検討・検証することを目的としている。電力センサーは住宅全体の消費電力量の波形を解析し、個々の家電製品の消費電力量を高い精度で算出する機能を持つ。検出したデータは無線LANで住宅内のルーターに送信する。
大東建託はこれまで賃貸住宅入居者の利便性と安心感を高めることを目的に、先端技術を活用したサービスの導入や、スマート賃貸住宅の開発を検討してきた。今回の実証試験では東電PGの宅内IoTプラットフォームが提供する電力データ、および家電製品の使用状況の把握により、入居者向けに提供している「DK SELECT進化する暮らしアプリ」での電気使用状況の“見える化”や、さまざまな生活サービスの提供を検討・検証していく。
東電PGは暮らしのサービスを行うさまざまな事業者に、家電製品の種類ごとに電気の使用状況や、それらを分析・加工した在宅状況などの情報を提供する宅内IoTプラットフォームを構築している。このプラットフォームを通して賃貸住宅の入居者向けサービスに適した情報提供が可能であることから、今回共同での実証試験の実施に至った。今回同社は宅内IoTプラットフォームの提供および新サービス実現に向けたデータ分析・加工を検討・検証を担当する。
試験期間は2017年12月31日までの約3カ月間を予定。対象住宅は関東圏内の住宅20棟(専用電力センサーは共用部および専有部に設置)となっている。
両社は今回の実証試験を通じて新サービスの有効性を検証し、2018年4月以降、大東建託が管理する賃貸住宅への本格導入を検討していく方針だ。
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