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発電に不向きな“竹”を利用、「世界初」の専焼バイオマス発電所が山口県に:自然エネルギー
豊富に存在するものの、バイオマス燃料には不向きとされている竹。この竹を燃料に利用する「世界初」をうたうバイオマス発電所の建設が山口県で始まった。
日本国内に豊富に存在するものの、バイオマス発電燃料としては不向きとされている竹。この竹のみを燃料として利用する、世界初をうたうバイオマス発電所の建設が、山口県山陽小野田市で始まった。再生可能エネルギー事業を展開する藤崎電機の「山陽小野田バンブーバイオマス発電所」だ。2017年10月17日に起工式を開いた。
発電所の出力は2MW、年間発電量は1万5800MWhを見込んでいる。一般家庭約4800世帯分以上の年間使用電力量に相当する年間発電量だ。発電所の稼働は2019年1月を予定する。
竹は国内に豊富に存在し、成長速度も早い。しかし、バイオマス燃料として不向きとされる理由の1つが、カリウムを多量に含んでいる点だ。この特性により灰の軟化温度が低くなり、一般的なボイラーで燃焼すると「クリンカ」という溶岩が生成され、炉を傷めてしまう。さらに塩素濃度も高いため、耐火物や伝熱管を腐食させやすいという特性がある。
そこで、藤崎電機のグループ企業で、発電事業を手掛けるガイアパワーは、ドイツのLAMBION社と共同で、竹を専焼しても問題がない特殊な燃焼炉を開発。この問題を解決したという。
燃料となる竹は、市内から調達する計画だ。地元企業と連携しながら、竹の伐採、運搬、チップ化を行う。同時に竹林の整備なども進め、地域雇用の創出にも貢献する計画だという。
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