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藻類でつくるジェット燃料、IHIがタイで実証へ:自然エネルギー
IHIはタイで微細藻類を使ったバイオジェット燃料の実証実験を実施。早期実用化に向け、製造コスト低減などの課題の検証を進める。
IHIは2017年11月6日、タイで微細藻類を使ったバイオジェット燃料の実証実験を行うと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「バイオジェット燃料生産技術開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験」の一貫で、タイのSiam Cementおよび同社傘下のSCG Cement-Building Materialsと協力し、同国サラブリ県にパイロットスケール試験設備の整備を開始する。
今回の開発事業は、バイオジェット燃料製造の商用化を目指し、バイオジェット燃料生産での複数ある技術の1つとして、微細藻類由来のバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスに関する技術開発を行うもので、IHIは神戸大学とともに取り組む。
IHIは、これまでにもNEDOの委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」を含め、石油代替燃料の原料となる炭化水素油を藻体の50%以上含有し、増殖性が高い高速増殖型ボツリオコッカス株を用い、バイオジェット燃料の研究開発を行ってきた。2015年度には鹿児島県鹿児島市七ツ島の屋外大規模培養設備で、バイオ燃料用微細藻類の安定培養に成功している。
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