地域と家庭のエネルギーを最適化、中部電力とデンソーが新型HEMS:エネルギー管理
中部電力とデンソーがHEMSを共同開発。地域の電力需要と供給のバランスに応じ、利便性や快適性を損なわずに家庭の電力需要を調整できるという。
中部電力とデンソーは、HEMS(Home Energy Management System)を活用して自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機(エコキュート)や、全館空調を自動制御し、地域の電力需要と供給のバランスに応じて家庭の電力需要を調整するエネルギーマネジメントシステムを共同開発したと発表した。
同システムは、中部電力の需要調整システムとデンソーのHEMS制御用システムを連係することにより、夏場の電力使用量が多い時間帯など、中部電力が電力需要を抑えたい場合に、利便性や快適性を損なわず、家庭の電力需要の自動制御を可能にするという。
具体的には、中部電力から電力需要調整の依頼がデンソーのHEMS制御用システムに入り、家庭に設置されたHEMSからの指令によりエコキュートや全館空調を自動で制御し、家庭の電力需要を調整する。
同システムの開発にあわせて、電力需要の調整による湯沸かしの停止によって湯切れすることがないよう、残湯量や日々の使用状況に応じて、電力需要調整の時間を外しながら、湯沸かし時間を変更する制御を共同開発し、導入した新型エコキュートをこのほどデンソーが販売開始した。
中部電力は、これまで家庭の電力需要を調整する取り組みとして、需要抑制を促す実証試験や電力使用量が多い時間帯に外出を促すサービスを実施しているが、同システムのように家庭に設置されている機器を自動で制御する取り組みは初めてという。
同システムの開発は、両社が豊田市で検討している地域の電力需給を調整するバーチャルパワープラントの取り組みの1つであり、2018年1月〜2020年3月31日までの期間、豊田市をはじめ周辺の、岡崎市、安城市、知立市、みよし市、刈谷市の6市で、同システムが生活に与える影響や電力需要の調整実績などを検証する実証試験を開始する。実証モニター数は6市内で同システムを設置する家庭40軒および、比較対象として手動により機器操作を依頼する6市内の家庭40軒の合計80軒。実証モニターへの謝礼としては、電力需要の調整実績に応じてポイントを付与する。
両社は、今後も「暮らしを豊かにし、IoTで地域とつながることで、よりエネルギーをお得に利用できるサービス」をコンセプトに、エネルギー環境や暮らしニーズの変化を捉え、蓄電池などのエネルギーリソースも活用した新たなエネルギーサービスプラットフォームの構築を進める方針だ。
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