改正FITで転機となった太陽光発電、今後求められる視点は何か:太陽光(4/4 ページ)
適正な事業計画の策定、定期点検の義務化など、2017年の太陽光発電市場は改正FIT法の施行で大きな転機を迎えた。本稿では改正FIT法によって変わったポイントを振り返るとともに、今後の太陽光発電事業に求められる視点や技術を解説する。
どういったクラックが発電損失につながるのか?
下の画像は、セルに生じたクラックが、将来どのように発電損失を引き起こすかを示した例です。結晶系のモジュールは、セルにバスバーが敷設されており(下記画像では1セルにつき3本)、バスバーに対して垂直にフィンガーバーが細かく敷設されており、セルで発電した電力をフィンガーバーによってバスバーに運ぶことにより集電しています。
セルにクラックが入った場合、経年の外的および内的要因による内部破壊によりフィンガーバーが断線する可能性が高く、場所や形により発電の損失を起こす可能性があります。
このELの特性を生かして、ヨーロッパでは発電所建設の際に、モジュールの受け入れ検査を実施することが一部絶対条件になっています。
受け入れ検査とは、保全倉庫や建設現場などモジュール受け取りのタイミングでEL検査および出力測定を実施するものです。日本では、現在はほとんど実施されていません。現在稼働中の発電所はまだ新しく、大規模発電所で稼働から10年以上経過しているものはほとんどありません。クラックがあったとしてもまだ小さく、発電に大きな影響は及ぼしていないかもしれませんが、すでに出力低下につながるクラックが発電所のあちらこちらで発生していることも考えられます。
現在、大規模発電所では定期的な点検を行っているケースがほとんどだと思いますが、レポートを見て、現在の発電所の状態が分かったとしても、将来にどのような問題が予想されるか、今の問題点をどのように改善すればいいかのアドバイスまで行っている会社はほとんどないのではないでしょうか。
受け入れ検査に代表されるモジュールの品質検査は、まだ日本ではなじみが薄いですが、中古発電所の売買の市場が活発になってくると、その需要は大きくなると確信しています。発電所で発覚したモジュールのクラックは、原因はどこにあるのか、修繕責任はどこにあるのか、といった問題が起こる日もそう遠くはないかもしれません。
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