「太陽光+風力」のハイブリッド発電所、豪州で2018年稼働へ:自然エネルギー
ユーラスエナジーが豪州で太陽光と風力を組み合わせたハイブリッド発電所の建設に着手。2018年に稼働する計画で、一般家庭約3万5000世帯分の消費量に相当する発電量を見込んでいる。
ユーラスエナジーは風力発電と太陽光発電を併設するハイブリッド発電所「Kennedy Energy Park」を豪クイーンズランド州に建設する。現地の風力発電業者であるWindlab Development社と共同推進している案件で、発電規模は5万8200kW(キロワット)。風力発電が4万3200kW(Vestas社製風車、3600kW×12基)、太陽光発電が1万5000kW(Jinko Solar社製パネル5万5680枚)で構成されており、さらに4000kWh(キロワット時)の蓄電設備も設置する。
ハイブリッド型発電所の最大のメリットは、単独の風力発電や太陽光発電と比べて天候による発電量の変動が小さいところにある。同プロジェクトサイトは夜間に風が強く、昼間は弱まる傾向があることから風力発電と太陽光発電との補完関係が強く、結果として風力発電、太陽光発電単独のプロジェクトと比較し、一日を通じより安定的に電力供給できることが期待されている。また、同国で風力・太陽光・蓄電池を同じサイトに設置し、送電線に連系する初のプロジェクトになるという。
売電先はクイーンズランド州政府系の発電会社であるCS Energy社で、2028年までの売電契約を締結した。同国における一般家庭約3万5000世帯の消費量に相当する電力を供給することが見込まれる。営業運転開始は2018年10月を予定。同発電所はユーラスエナジーグループにとっては同国で風力については3件目、太陽光は初のプロジェクトとなる。
今回の事業については、豪政府系の再エネ機関(ARENA)から無利子の融資を受けており、さらに再エネ金融公社(CEFC)からは長期ファイナンスを供与されている。
同国政府は総発電量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年時点で20%にするという目標を掲げている。さらに2015年開催の「COP21」におけるパリ協定のもと、2030年までに2005年比で温室効果ガスを26〜28%削減することを目標としている。ユーラスエナジーグループはこのような事業環境を追い風として、今後とも同国でさらなる事業展開を進める方針だ。
なお、発電所の起工式を、12月11日にクイーンズランド州議会議員を始めとする関係者らが参列し、建設予定地で執り行った。
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