分散電源トレンドは、地域都市ガス企業に大チャンス――アクセンチュアが支援事業:自然エネルギー
アクセンチュアは地域の都市ガス事業者向けに、「再エネ・蓄電池ビジネス立ち上げ支援」サービスの提供を本格的に開始した。国内で広がる分散電源化のトレンドは、地域都市ガス事業者にとって大きなチャンスという。
「分散電源のトレンドは、地域都市ガス事業者にとって大きなチャンス」ーーこう話すのは、アクセンチュア 素材・エネルギー本部 公益事業部門統括 マネジング・ディレクターの宮脇良二氏だ。
アクセンチュアは2017年12月から、地域の都市ガス事業者向けに、「再エネ・蓄電池ビジネス立ち上げ支援」サービスの提供を本格的に開始した。再生可能エネルギーや蓄電池などの分散電源を活用した、エネルギーの地産地消事業などの構築を一気通貫に支援するという。
日本では2012年から「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」がスタートし、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進んだ。現状、諸外国よりは高コストといわれるものの、着実にその発電コストは下がりつつある。それに伴い、FITを利用した売電事業だけでなく、再生可能エネルギーを活用した地産地消事業などの取り組みも広がりつつある。
宮脇氏はサービスを立ち上げた狙いについて、「分散電源の導入においては、“地域”という観点でビジネスや仕組みを構築していく必要がある。その際、既にそのエリアにネットワークを持ち、地域を面で押さえているローカルな都市ガス事業者には大きな役割を担えるチャンスがある。例えば、太陽光発電やバイオマス発電などの再エネ事業に、ガスや熱、蓄電池などを組み合わせれば、地域の“総合エネルギー企業”を目指すこともできる。海外では分散電源化が進むと、エネルギーと他の事業やサービスを組み合わせるといった動きが活発になっており、電力・ガスだけにとどまらない、新しいビジネスモデルの構築が行われている。これらはすぐに構築できるものではないが、日本でも電力・ガス自由化で競争が激化する中で、地域都市ガス事業者の5〜10年後を見据えた新事業としては、今から取り組めば十分にチャンスがある」と話す。
具体的に再エネ・蓄電池ビジネス立ち上げ支援サービスでは、再生可能エネルギー発電設備の導入計画の策定から、設計・調達・建設(EPC)のサポート、需給調整、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の構築、その地域に即したビジネスモデルの策定、ファイナンスなど、幅広いサポート内容となっている。
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