有機薄膜太陽電池の生産負荷を軽減、新しい高分子半導体の合成技術:太陽光
筑波大学と物質・材料研究機構の研究グループが、有機電子光デバイス用高分子半導体を合成するための新しい合成技術の開発に成功。有機EL素子や有機薄膜太陽電池の省資源かつ低環境負荷な生産の実現に寄与するという。
筑波大学と物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究グループは2017年1月、有機電子光デバイス用高分子半導体を合成するための新しい合成技術の開発に成功したと発表した。従来よりも簡便なプロセスで高分子半導体を製造できるだけでなく、省資源・低環境負荷な生産も可能となるため、有機EL素子や有機薄膜太陽電池などの有機電子光デバイスの普及に広く貢献することが期待される。
有機電子光デバイスを構成する材料の1つであるπ共役高分子は、これまで主に有機金属化合物と有機ハロゲン化物との遷移金属触媒を用いる「クロスカップリング反応」を利用して合成されてきた。この反応は多様な高分子合成を可能にする一方で、スズやホウ素、ハロゲンなどを官能基として利用するために、必然的にそれらの官能基を持つ原料(モノマー)を事前に合成する必要があった。さらに、これらの官能基に関連した副生成物を反応後に高分子から分離・除去しなくてはならなかった。
同共同研究グループは、2種類の芳香族化合物のC-H結合を直接反応点として利用する原子効率の高いクロスカップリング反応を用いることにより、高分子半導体が得られるまでの合成ステップを2工程以上削減することを可能とした。さらに、酸素を最終酸化剤として利用することで、酸化剤の使用量を大幅に低減するとともに、この反応で生成する主な副生成物は無害な水になった。この反応では、異なる機能を有する2種類のモノマーを原料に用いると、それぞれの機能を併せ持つ高分子半導体が創出できる。
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