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風力発電の導入拡大へ、北電と東電PGが調整力を融通する実証:自然エネルギー
北海道電力と東京電力パワーグリッドは、風力発電の導入拡大に向けた実証試験を開始したと発表した。地域間連系線によって両社の調整力を融通しあい、電力系統の安定化を図る。
風力発電で不足する系統安定性は東京地域の調整力で補う
北海道電力と東京電力パワーグリッドは、風力発電の導入拡大に向けた実証を開始したと発表した。既設の地域間連系線を活用し、東京電力の調整力を利用することで電力系統の安定化を図る。
系統連系する風力発電設備が増加するにつれて、電力システムの系統安定性は低下しやすい傾向にあることが知られている。今回の実証では、北海道電力管内に合計20万kWの風力発電設備を新規導入し、風力発電の出力変動調整が発生した場合に不足する調整力を東京電力パワーグリッドから融通を受けるというもの。
北海道電力は前日時点の出力予測値(30分値)に基づいて、スポット市場に電気を供出する。この市場に供出した電気と1時間前時点の出力予測値との差分を、地域関連系線を通じて調達される東京電力パワーグリッドの調整力と北海道電力管内の調整力によって充足する仕組みとなる。
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