世界の太陽光コストは2020年までに半減、化石燃料を下回る水準に:自然エネルギー
IRENAが世界の再生可能エネルギーのコスト試算をまとめた報告書を発表。2020年には太陽光と風力発電の一部は、化石燃料を下回るコストを実現すると予測している。
世界150カ国以上が加盟するIRENA(国際再生可能エネルギー機関:International Renewable Energy Agency)は、2018年1月13日に再生可能エネルギー電源のコスト動向をまとめた報告書「Renewable Power Generation Costs in 2017(再生可能エネルギーの2017年の発電コスト)」を公表した。2010年から現在までの約7年間で、太陽光発電のコストは73%、陸上風力発電のコストは約25%低下しており、再生可能エネルギーは着実に競争力のある電源になりつつあるとした。
2017年の世界における太陽光発電の加重平均による均等化発電原価(LCOE)は10セント/kWh(キロワット時)、陸上風力発電は6セント/kWh、水力発電は5セント/kWh、バイオマスおよび地熱発電は7セント/kWhだったと試算した。
IRENAによると、2017年のG20諸国の化石燃料を利用する電源の発電コストは5〜17セント/kWhと推定されている。このことからも、再生可能エネルギーの発電コストは、化石燃料を利用する電源と比較しても遜色ないレベルまで下がっている。
太陽光は2020年までにさらに半減
報告書では、太陽光発電については、さらに2020年までにコストが半減する見通しだという。さらに、陸上風力発電も同年までに5セント/kWhまで下落するとしている。
こうした予測を支える要因の1つとなっているのが、2017年に世界で非常に低価格で応札された太陽光・風力発電プロジェクトが複数登場したからだ。太陽光、風力ともに発電コストが3セント/kWhを下回る事例が生まれている。
こうしたグローバルな競争入札の拡大の他、技術革新のさらなる進展、中〜大規模の開発事業者の台頭などが、さならるコストの低下を推し進める。こうした影響によって、IRENAは2020年には太陽光発電と陸上風力発電の優良な案件については、3セント以下の発電コストが主流になると予測。つまり、化石燃料を利用する電源の発電コストを下回るという試算だ。
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