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−20℃でも充電速度1.6倍に、産業用リチウムイオン電池の新製品:蓄電・発電機器
エリーパワーは産業向けのリチウムイオン電池の新製品を開発。容量を従来比10%高めた他、低温環境下における充電性能も改良した。
エリーパワー(東京都品川区)は産業向けリチウムイオン電池の新製品を開発し、2018年2月から量産を開始すると発表した。従来の電池と比較して容量・エネルギー密度を高め、安全性能も強化したのが特徴という。電圧は3.2V(ボルト)、容量は55Ah(アンペアアワー)、サイズは170.5×45.0×111.9ミリメートルで、質量1.41キログラム。同社が開発する蓄電システムに順次展開する予定だ。
今回開発した電池は従来製品と比べ、正極の改良により蓄電容量は約10%、エネルギー密度は約17%向上している。制御回路に頼らない過充電時の電流遮断反応に加え、電流遮断まで過充電中のガス発生を抑制し、安全弁の作動を抑える機能も備えた。この新技術により過充電時に電解液が噴出するリスクが低くなり、漏液による二次被害の可能性が大幅に低下するとしている。
低温環境下での性能にも改良を加えた。マイナス20℃の環境下において、約3時間で電池容量の70%、約5時間で90%充電でき、充電速度を従来製品比で約1.6倍に高めた。これにより寒冷地での製品特性が高まり、幅広い設置環境に対応する。約1万2000回の充放電を繰り返しても、80.1%以上の電池容量を保持できる長寿命性も特徴という。
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