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中部電力のAIサービス開発秘話、エネルギーに人工知能をどう生かすか?IT活用(2/3 ページ)

電力を生かした新サービスの創出に向けて、エネルギー業界でもその活用に注目が集まっている人工知能(AI)。顧客向けのサービスにAIの活用を進めている中部電力は、一体どのような取り組みを行っているのか?

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スマートメーターのAルートデータだけで家電推定

 同社では、エアコンなどの各家電の電力使用量見える化するにあたって、電力会社が30分単位で遠隔検診が可能なスマートメーターのAルートデータから、家電の動作状況をAIによって推定する機能を実装した。この方法では、スマートメーターから得られるデータのみ利用するため、専用装置で家電の電力使用状況を分析する方法と比較し、導入ハードルが低いメリットがあるという。


AIを活用した家電動作推定プロジェクトの概要(クリックで拡大)

 AIの学習には、あるデータに属性を示すメタデータをひもづけるアノテーション型を採用すしている。今回の取り組みでは、30秒単位で瞬時電力量を送信するスマートメーターのBルートデータを教師データとして同社社員の約40世帯から収集した。同社社員やその家族が、Bルートデータに基づくAIによる動作家電推定の正否を確認、誤りの場合は別途家電名を入力しアノテーションを付加することでAルートデータによる推定モデルの学習を進めた。

左:AI学習の流れ 右:家電推定モデルの仕組み(クリックで拡大)

 このAIにより、Bルートデータから使用家電の推定を行うと、エアコンの推定精度は90%以上だが炊飯器では約30%と、家電によって推定精度にバラつきがあったという。この理由として、実験時は夏季のため教師データへのアノテーション付加にエアコンが多く、AIの学習がエアコンに引っ張られることで「AIが、エアコンと回答すれば正解すると思っている状態」(高村氏)だったとする。

左:家電ごとの推定精度 右:アノテーション付加数と推定精度の分布(クリックで拡大)

 また、本来の推定データ源であるAルートデータからAIにより家電動作推定を行うと、Bルートデータの推定と比較して精度は落ちるものの、学習期間中の平均精度は57.5%として「ある程度の推定はできている。(精度を向上を妨げている要因となる)何かを分離すれば、もっと精度は上がっていくと考えている」(高村氏)として、家電動作推定のさらなる精度向上を行った後に、一般顧客向けにサービス展開を行うとしている。

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